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***  こうして僕と西園寺さんは紆余曲折の末、正式に付き合う事になったのだが。  ……恋人になろうが、身も心も繋がろうが、人というのはそう簡単には変わらないのである。 「え……店長、これなんですか?  昨日までこんなの、無かったですよね!?」  にこにこ弁当の天井に設置された、防犯カメラ。  それを目にして、思わず声を荒げた。  すると店長はバツが悪そうに目をそらし、変な汗を流しながら答えた。 「えっと……本社からの、意向でね?  ほら、最近物騒な事件が多いでしょう?」  怪しい。……怪し過ぎる。  僕としてはむしろ、これを設置するよう指示をした男の方が、よほど怖いし気持ちが悪い。  例えそれが、僕の愛しい恋人なのだとしてもだ。  しかしそれ以上追求する前に、彼は脱兎のごとく厨房へと逃げていってしまった。 「うゎ、ホントだ!  しかもこれたぶんだけど、ネットでリアルタイムで全部見れるタイプじゃね?  ……お前と西園寺さん、本当に付き合ってるんだよな?」  僕同様、犯人の意図を明確に理解したらしきハラちゃんが、心底ドン引きした様子で聞いた。  ちょうどそのタイミングで、店舗駐車場に停められた一台の高級車。  言うまでもない。僕の恋人にして変態ストーカー、西園寺さんの車である。 「こんにちは、陸斗く……」  車から降りてきた彼の挨拶が終わるより早く、笑顔で告げた。   「いらっしゃいませ、西園寺さん。  490円でーす」    もはや商品名を確認する事すら無いまま、事務的に金額を告げた。 「う、うん。  えっと……何か、怒ってる?」  上目遣いに、そろりと僕を見つめる西園寺さん。  ……やはり無駄に、顔が良い。

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