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第1話

新年度になり、三条は大学3年生。 次男は中学3年生。 三男は保育園へ通うようになった。 それなのに大学は今年度は基本的にはオンライン授業のみと決め、新学期らしい事はなにもない。 だが、僅かに感染の波が減ってくれたのが細やかな喜びだ。 例え一喜一憂になったとしても。 「あの…、それ……」 『進級のプレゼント』 最早、見慣れたと言っても良いその箱。 それをカメラに見せながら、にっこりと微笑むのは恋人の長岡だ。 あぁ、今日も格好良い。 美人は3日で飽きるブスは3日で慣れる、なんて諺があるが、長岡の顔は飽きないし慣れない。 何度見ても良い。 どの角度から見ても良い。 「毎回思ってたんですけど、それ…正宗さんが使うじゃないですか…。 俺の進級のプレゼントになるんですか…?」 『使われんのは遥登だろ』 なるほど。 って、流されてはいけない。 アダルトグッズが進級のプレゼントの筈ないじゃないか。 絶対に楽しんでる。 顔が嬉しそうだ。 でも、その顔も格好良いから許してしまう。 「正宗さんは…その……そういうの使わないんですか、」 『オナホとか?』 「あ……はい」 『遥登のケツの気持ち良さに比べたら』 「わ、分かりましたからっ」 文字通り向かいの部屋にいる次男の気配に気を配りながら、慌てて言葉を遮った。 「ローター、とか…は。 沢山持ってますよね」 『使わねぇな。 気持ちい?』 「え……」 『いや、使った事ねぇからどんなかなって』 「…………そりゃ…きもち…ですけど。 あの、使った事ないって…その……入れたまま、入れるじゃないですか……」 『あぁ。 確かに。 あれは気持ちいな』 なんだか流されてる様な気がする。

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