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第17話

カリカリと搔かれる気持ち良さに惚けていると、突然爪をたてられた。 短く切り揃えられているといっても敏感な箇所に突然走った痛み。 びっくりして 「……っ」 「しねぇのかよ」 「あ……」 楽しそうな色が隠しきれていない声に、かぁっと全身がアツくなった。 カーセックスをしたいと強請ったくせに腰の動きを止められずにいた。 なんて、はしたないんだ。 手で顔を隠そうとすると握っているのとは逆の手で、その手を止められた。 「その顔見して」 「だって……」 「恥ずかしくてたまんねぇって顔、すげぇそそる。 可愛いよ」 耳が溶けそうだ。 甘いのに低くて男のものだ。 それが鼓膜を震わせる。 熱くも痛くもないのにジンジンする。 これが、耳が孕むという感覚。 恥ずかしいのに嬉しくて、顔を隠したいのに隠したくなくて、胸がドキドキする。 「ほら、カーセックスすんぞ」 「はい…」 「あんまり激しく動けねぇけどな」 「…は…い……」 掴んでいた手を離すとアウターの下へと差し入れられた。 そのまま背中を撫でつつ臀部へとおりていく。 声を出さないように堪えつつ、恋人の顔を盗み見た。 「ん? 寒いか?」 「平気、です」 「寒かったら言えよ。 コート貸してやる」 「それじゃ…っ、正宗さんが……」 緩んだボトムスから入り込んできた冷たい手が下着の中へと潜る。 ローターのコードを見付けるとわざと摘まんできた。 ツンっといじられ肩が跳ねる。 けれど、あまり動いては怪しまれてしまう。 ある程度のことはされると覚悟を決め、身構えておかなければ。 「遥登、コートの左ポケットに手ぇ突っ込んでくれるか」 「え、…はい…。 失礼します」 ポケットへ手を入れるとすぐに硬い何かに触れた。 薄くて……これは。 「これ……」 「出して」 「だって…これ…」 「なに? 分かんなら、それがなにか言ってみ」 「……こん、どーむ」 「そ。 コンドーム。 また、天辺破いても良いぞ。 中に出すから家まで持って帰れ」 想像だけで溶けてしまう。 ゾクゾクとした期待に身震いすると、目の前の綺麗な顔が嬉しそうに目を細めた。

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