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第47話
今年もこの季節になった。
「綺麗ですね!」
「あぁ。
ここは日当たりが良いから咲き始めんのも早いな」
やっぱり春には桜を見ないとな。
勿論、恋人と。
春の楽しみの1つだろ。
この季節の似合う恋人はころころと笑ってご機嫌だ。
この顔を見たいが為に誘っている部分もあるほど、好きな顔。
やっぱり何度見ても良い。
最高だ。
咲き始めたばかりは、他に人もおらず2人じめ。
それもまた心を満たす。
夜はやっぱり平等だ。
「やっぱ、遥登と見る桜は良いな」
「今年も正宗さんと見られて嬉しいです。
こうやって見るのが1番綺麗です」
ただ、気持ちを伝えただけだった。
それなのに、三条はとても嬉しそうに頷く。
そして、嬉しい言葉を更に添えてくれる。
遥登が好きだと身体中が叫ぶ。
桜の色が映える肌を赤らめ喜ぶその子の手を握った
「俺も、遥登と桜見られてすっげぇ嬉しい。
来年も一緒に見ような」
「はいっ。
勿論です」
「来年こそは、弁当持ってこれると良いな」
「また、おにぎり沢山作って来たいですね」
誰もいないのを良いことに、暫しデートだ。
あとは綻ぶのを待つばかりの花に春の訪れを知り、1年という短さをしみじみと噛み締めた。
「なんか桜餅食べたいですね」
「コンビニ行くか?
春なら売ってんだろ」
「折角、手を繋いでるから後でにします。
今は正宗さんです」
「そういうとこだぞ」
手を引き身体を近付けるとスマホを構える。
「ほら、ピース」
「へへっ」
だらしない顔をした男がカメラに収まる。
だけど、世界で1番しあわせそうだ。
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