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第49話

甘くてほのかに檸檬の味のする液体を飲み込むと吐き出す息が白くなる。 まだ花冷える4月だ。 新学期がはじまりなにかとやることがある。 そんな忙しい毎日の中で、こうして三条と過ごす時間は至福だ。 三条の優しさと愛おしさでいっぱいになるのが、こんなにも贅沢だなんて人を傷付ける言葉ばかり並べる奴らは知らないだろう。 ま、そんな奴らに三条を近付けたりしねぇけどな。 俺のだし。 けれど、世界中の奴らに三条のように穏やかに笑う大切な人がいたら世界はもっと平和になる。 そう思うんだ。 自分が変われたように、きっと世界が少しだけ大切に思えるから。 「遥登一人占めして、俺は贅沢だよな」 「え、急にどうしたんですか?」 「んー、毎回思ってるぞ。 遥登とこうやってデートして贅沢だよなぁって。 こんな事だって出来るし」 取り出したスマホの1番奥に隠したいやらしい写真をスィーっと見せる。 これはおかず用だ。 どこをスクロールしても淫らなものばかり。 肌色が多く、中にはお漏らしをしているのもある。 お気に入りのものはやっぱり自身のモノを銜え込んでいる時の淫らな顔。 たまらない。 「っ!!」 「俺だけだろ?」 「お、俺だけですけど、外ですからっ。 隠してくださいっ、ちょっと動画は駄目ですよっ」 「あ、これ動画か」 「知ってる癖に…っ」 最近の三条は以前のようによく笑う。 それから、恥ずかしがったり悪戯っぽい顔をしたり。 表情が豊かに戻ってきた。 ストレス発散もしているし、このまま笑っていて欲しい。 その為ならなんでもする。 道化になってなる。 だから、愛されている自覚をもって欲しい。 自分だけではない。 家族も友人達もみんな、三条が大好きだ。 ありのままの等身大の三条がな。 「ほら、お漏らし」 「漏らしてないですっ。 それは、自分の意思で……」 「くくっ」 「ね、駄目ですよ。 正宗さん…っ」 ミュートにしていても慌てる三条が可愛くて、つい……な。

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