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第64話

すっかり“いつも”になった河川敷で雨に打たれる桜を見る。 これはこれで風流な気もしなくもない。 「うめぇ」 「お口に合って良かったです!」 2人でモチモチの大福を頬張る。 やっぱりいつ食べても美味しい。 けど、隣に長岡がいるともっととびっきりに美味しい。 「クリームもうめぇな」 「お好きですか?」 「お好きです」 珍しく食い付いている長岡を見詰めた。 アルコールも煙草も─禁煙成功したが─嗜むが甘いものも好きな長岡。 気に入ったんだ また買ってこよう いちごが売ってる季節なら、もう暫くは売ってるよな 「なに見てんだよ。 えっち」 「えっちじゃないですよ…」 「やらしい事考えてた?」 「ち、違いますって…」 「なんだ、ちげぇのか。 残念」 だが、自分の好きな物を好きになって貰えて嬉しい。 俺の好きな… 「あの、俺が好きだからですか?」 「ん? 急にどうした」 「えっと…このいちご大福、俺が好きだから好きですか?」 「さぁな」 顔が、そうだと言っている。 自分が好きだから食べて欲しい、そう伝えたから。 やっぱり好きだと胸がドキドキと騒ぐ。 単純だって言われても良い。 だって、本当に嬉しいから。 大切なのは自分がどう感じるか。 「また俺のおすすめ買ってきます。 一緒に食べてください」 「俺のおすすめも買ってくるな。 バーガーとか」 「バーガー! 大好きです!」 「知ってる。 だから食わせてぇんだ。 期待してろよ」 「はいっ!」

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