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第253話

よし まずは洗濯 それから米を炊いて冷ましてる間に掃除 窓を全開にしながら頭の中でタイムスケジュールを組み立てていく。 長岡が提示したバイトとは、家事だった。 夕食と作り置きに加え、普段の生活では手の届かない場所の掃除や洗濯もしてくれると嬉しい、と。 時給も正直、嬉しい金額だった。 そんなのバイトでなくともやります、と言ったら、きちんとして貰うのなら対価を支払うのは当然だと言われてしまった。 それに、金銭が絡んだ方がしっかり責任持つだろ。 今からそれに慣れておけ、だそうだ。 多分、今までのように登録制のバイトが少なくなった事を気にしてくれているのだろう。 恋人から金銭を受け取るのは申し訳ない。 けれど、その半面有り難い事には変りないので、給与分以上にしっかりと働き、安くて腹持ちも良く更には栄養のある食事を用意し隅々まで綺麗にしたい。 賃貸だからと普段サッとでも手入れをいているお陰で特別汚い訳ではないが、細かい箇所を漂白したり排水パイプを綺麗にしたり細々とした事にまで手が回らないらしい。 洗濯も、少し溜まっていていっそのことコインランドリーで纏めて乾燥まで終わらせようと思っていたと言う始末。 時期的な忙しさが一因なのも分かるが、忙しい時だからこそ睡眠をしっかりとって欲しいので自分が一役買うことでゆっくりとした時間を過ごせるのなら嬉しい。 三条は洗濯籠を抱えると部屋から洗濯物を回収していく。 いうても、ワイシャツとかは洗濯してるんだよな あ、シーツも洗っちゃって良いって言ってたな 布団カバーと枕カバーもしちゃお マットレスもファブって日向においておくか ……一応、連絡しとこ 遥登ならなにをされても構わない、なんて言っていたが、それにしても最低限の礼儀は必要だ。 長岡が大好き故に、それは大切にしたい。 親しき仲にも礼儀あり、だ。 寝具からカバーを外していくと、ちょっとした好奇心が芽を出した。 正宗さんのにおい…… 顔、埋めたい いや、変態っぽい…よな…… 寝汗の染みた寝具。 久しく一緒に寝てはいないが、長岡のにおいしかしないベッドは最高だ。 ………失礼します ぽふっと顔を埋めると長岡のにおいが濃くした。 このにおいの中で寝るのが好きだった。 今も好きだ。 大好きなにおいに塗れ、頬の筋肉が緩んでいく。

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