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第254話

勿体ないが寝具を洗濯機に任せ、本格的にバイトをはじめる。 まずは時間のかかるものから。 洗濯が終わったら後程洗濯機庫内の掃除もするつもりだ。 そして、水場の隅っこ等をカビハイターをラップ浸け置き。 綺麗に保たれているが、隅っこまで真っ白にしたい。 やれる事はしっかりとしたい。 大袈裟だが、今の忙しさが一段落するまでは楽が出来るようにと思ってやる。 そうでなくとも、この部屋には沢山お世話になっているのだから。 お礼の気持ちを込めて丁寧に。 時間だけは沢山あるのだから。 次に、手をしっかり洗い米を炊く。 1膳づつ小分けし冷凍保存する為には、冷ます必要がある。 つまり優先事項。 炊飯ボタンを押し、次は調理。 煮物やそぼろ、茹でたたけの青菜、健康の為に酢の物も作っていく。 そぼろはそのままでも、あとから片栗粉でとろみをつけて餡掛けにしても良い。 青菜もおひたし、味噌汁に入れたり汎用性がたる。 使い回せるよう買ってきた野菜は種類こそ多くはないが味付けを変え飽きないようにしてみたり、刻んで冷凍用にしてみたり。 今日の晩ご飯の味噌汁は豚汁にして、明日以降は出汁で伸ばしカレールーを入れて貰えば飽きずに食べきれるだろう。 うどんを入れても最高だ。 それも少し多めに用意する。 それからアルコールの肴にもなるような物も簡単に作った。 最近はあまり飲んでいないが週末くらいゆっくり自分のために時間を使って欲しい。 だが、きっとまた会いに来てくれるのだろう。 デートと称して同じ時間を過ごしてくれる。 それに救われていると長岡は言うが、それは三条もだ。 大切な時間。 掛け替えのない瞬間だ。 冷ます為に作業スペースにタッパーや保存袋に詰め並べていると、炊飯が終わったと釜が鳴る。 蓋を開ければ白米の甘いにおい。 なんとも腹が減るにおいだ。 それをさっくりと混ぜ合わせ、1膳分ずつに分けていくのだが、腹が鳴り出した。 朝ご飯、しっかり食べたのにいやしい腹だ… けど、このにおいはなぁ 恋人のにおいも大好きだが、飯のにおいもたまらない。

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