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第336話
「みっちゃっ、たあいま!」
「おかえり。
遥登と公園、楽しかった?」
「とぉっても!」
「とってもなんて、どこで覚えたの。
さ、手洗おうね」
上着を着たまま抱っこされ、シンクで手洗い。
その奥には今日の晩ご飯であろう野菜が置かれている。
今日のご飯はなんだろうか。
公園で冷えた身体はあたたかな物を欲する。
味噌汁やおでん、そういった物が食べたいなと思いながら、リュックからお土産を取り出した。
「はい、お土産」
「ありがとう。
わ、綾登。
沢山拾ったんだね」
「うんっ!」
おっきいのとちっちゃいのを拾ったんだよと舌足らずな声で喋るのを、母はうんうんと聞いている。
そうやって話を聞いてもらえること、褒めてもらえること。
嬉しかったと今でも覚えている。
「あと、綾登とお菓子買ってきた。
みんなでおやつに食べるんだって。
な」
「ゆーともね」
「もうすぐ帰ってくるから食べようね」
「とーとも」
5連のたまごボーロ。
丁度家族の分だと綾登が嬉しそうに選んだもの。
早く食べたいなと頭を撫でると、とびっきりの笑顔が返ってきた。
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