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第380話
神社内は去年より多くの人がいた。
パチパチと燃える炎の近くで暖をとったり、並んでいたり。
まだ5分以上時間があるので、みんな楽しそうに話をしている。
境内の隅には、商店街のケーキ屋がテントを張り甘酒や甘味を売っている。
なんだか懐かしい光景だ。
「あ、シュークリーム!
帰りに買おう」
「買ってやるよ」
「ほんと!
うれしー!」
三条も例外ではなく弟と話していると、奥の人の塊の中に見覚えのある頭が覗いていることに気が付いた。
だって、あの頭は。
コートから手を出しメッセージを飛ばすと、その人が動く。
『正宗さん、神社にいますか?』
『なんでバレた?』
『ご自分の顔の良さと身長分かってますか?』
『なるほど』
だけど、嬉しい。
同じ空間にいられるんだ。
「甘酒もあとで買お」
「ん。
そうだな」
場所こそ離れているが、一緒の空間で新しい年を迎えられる。
なんて贅沢だ。
去年は、そんなこと考えも出来なかったのに。
『正宗さんとも年越し出来るんですね』
『嬉しい?』
『勿論です!』
『俺も』
手のひらの中で会話をしつつも、見慣れた後頭部を見つめる。
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