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第657話

賢者タイムになると、三条は身体を動かさないようにしながらゴムを外した。 こういうところが三条らしい。 らしいが、今は駄目だ。 「捨てんな」 口を縛ろうとするのを制する。 折角の精液を捨てるなんて勿体ない。 試験が終わり部屋でも会えるようになり、口淫をしようと思えば出来る。 直接飲むのも大変すけべで良い。 だが、今日も飲みたい。 今飲みたい。 「え…、あっ」 冷えた頭に命令を送り、三条の手から避妊具を奪う。 そして、それを口の上から垂らした。 「…っ!!」 わざと喉を鳴らし、飲み込んだことを示すと三条の目がまた水分量を増やした。 この顔が見られるなら、賢者タイムのすべてのことへの煩わしさが消え失せる。 いや、本当は動きたくないが。 けれど、前者も嘘ではない。 「ご馳走さま」 「…うがい、してください」 「勿体ねぇ」 「してください…」 「はいはい。 けど、少しだけ」 三条の上に覆い被さるように倒れ、少しだけ休憩だ。

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