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第658話
すっかり大人しくなった三条は助手席に座り小さくなっている。
大方、誘うと自ら言ったのにいつも通りリードされたこと、それから上手く69が出来なかった等と考えているのだろう。
こんなことにまで三条は真面目だ。
性的なことに初なのも、いつまでも慣れないのも含め丸ごと愛していると何度伝えてもこれだ。
ま、これも可愛いが。
「コンビニ寄るけどなんか食うか?」
「…アイス」
「半分こしてくれんの?」
「はい」
ゆっくりとコンビニの駐車場へとハンドルを切った。
現在時刻的には、ゆっくりしている暇はない。
早く三条を送り届け入浴させなければ、ご家族に怪しまれてしまう。
それだけは避けたいのは本音なのに、まだ帰したくないのも本音。
「一緒に行くか?」
「…行きます」
「デートまで出来んのか。
良い日だな」
「誕生日ですから」
なにを当たり前なことを言うんだとばかりの顔がへちゃっと笑う。
今日が良い日なのは、誕生日だからではなく三条が隣に居てくれるからだ。
「じゃ、もっと甘えよっかなぁ」
「はいっ」
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