731 / 984

第731話

「ふたっつ」 「食うのか? サンタさんにあげるんだろ」 「はぅとと、ゆーとの。 かんぱいしよ」 そういうことなら、お言葉に甘えさせてもらう。 またもや残り生地のクッキーを選び、良く冷ます。 そうして、次男と末っ子の視線に合わせてしゃがみこみ3人で乾杯をした。 「おー、美味い」 「美味しいな」 「へへぇっ」 「分けてくれて、ありがとう」 「どーたまして」 次男がいつも作るレシピ通りの味がする。 これならサンタクロースも喜んでくれるだろう。 「となかいも、くっきーたべる?」 「人参じゃね?」 「優登は人参あげてたよな」 「ゆーと も したの?」 「んー…、まぁ…」 「たべた?」 「噛んであった」 「っ!!」 またもキラキラ輝く目に、優登は少し恥ずかしそうに頷いた。 そういえば、保育園の時におやつサンタクロースの為に残していた時があった。 思春期の子に言うものではないので心の中で、あの頃の可愛らしさを噛み締める。 そして、頼もしくなった姿を見て、成長をも噛み締める。 サクサクとクッキーを噛んでいると、なにか飲みたくなってきた。 完全におやつの感覚になる。 だが、小さなお菓子はすぐに食べ終わってしまう。 「ごちそうさま」 「もうふたっつ」 「次は誰だよ?」 「みっちゃと、とーと!」 「ほら、熱いから気を付けろ」 「あーい」

ともだちにシェアしよう!