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第781話
「じゃ、また昼に。
あっかくして寝ろよ」
「はい。
正宗さんも、あったかくしてくださいね」
「任せとけ」
駐車場から、ゆっくりと歩いて短いデート。
何度こうしても分かれがたい。
例え昼にまた会えてもだ。
名残惜しい。
自宅は、もう目の前だ。
「ほら、家に入な。
雪降ってくんぞ」
「…はい」
分かっているが、足が動かない。
長岡だって、部屋に帰らなければいけない。
その分時間だってかかるし、寝るのが遅くなる。
「帰ります…」
「その前に。
ちょっと、こっち」
手を引かれた先は、神社へと向かう曲がり角。
どうかしたのかと見上げると、丁度振り返った長岡と目が合った。
「少しだけ」
ぎゅぅっと抱き締められ、ふわふわとした良いにおいが身体を包み込む。
「はぁ…、遥登のにおい」
「正宗さん」
「俺が甘えたいから、甘えられててくれ」
目を閉じると寂しさが小さくなっていく。
「昼飯、スーパーでセット買って手巻き寿司しようぜ」
「良いんですか…?」
「正月だからな。
あと、なに食いてぇか考えとけ」
「はい」
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