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第783話
バスで長岡の部屋へと向かおうと思ったのだが、長岡が迎えに来てくれた。
昨晩も来てくれたばかりなので大丈夫だと言ったのだが、自分の顔の良さを120%利用した加尾で「迷惑か?」ときたもんだ。
更に続けて、「俺は、少しでも長く一緒にいてぇなぁ」だ。
そんなの、狡い。
あの顔で拒むなんて出来やしない。
分かっていてやっているんだ。
ということで、その言葉に甘え長岡と一緒に部屋へとやって来た。
「お邪魔します」
「おう。
寛いでくれ」
此方の方が完全なる素で、すっかり見慣れた姿だ。
分かっているのに良い顔に弱い。
「正宗さんは、狡いです」
「俺、なんかしたか?」
「顔が良いです」
「俺はこの顔に興味ねぇからなぁ」
この顔なら、それだけでお金が入ってくる。
今ならインフルエンサーなんてのも手だ。
だが、本人は本の虫。
古典作品を深く愛している人だ。
やっぱり、教師という職業が似合っているのかもしれない。
「俺は好きです」
「なら、この顔で良かったよ」
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