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第784話
「水道お借りします」
「どうぞ」
どうぞ、なんて言いながらも自分も手を洗う。
手洗いとうがいだけはしっかりしておくにこしたことはない。
これから3学年は受験だ。
もう2週間を切っている。
このタイミングで体調不良なんて絶対に避けたい。
正しく頑張っている人は、正しく評価されなければならない。
その為には、まずは正しく頑張れる人を邪魔しないことも大切だ。
そういう人こそ評価されるべきなのに、されないことが多いのが現実だ。
頑張ることはイコールで褒められる為のことではない。
自分の為の頑張りなら尚更だ。
だけど、褒められたって良いだろ。
せめて自分はそうして評価し褒めたい。
「遥登がおすすめしてくれたこのハンドミルク良いな。
濡れた手で塗れんのすげぇ楽」
「良かったです。
手洗いの癖の抜けなくて、頻繁に洗っちゃうのでカサカサしちゃうんですよね。
母が買ってきて俺も使ってからそんなにカサ付かないなって思って」
「学校にも置こうかなって思ってる。
チョーク触るとどうしても荒れるからな」
「働き者の手も好きです」
やわらかな表情が褒めてくれる。
褒められたら、大人だって嬉しい。
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