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第870話

「三条ぉ、田上がいじめるぅ…」 「えー…、俺を巻き込むか…?」 「まぁ、良いや。 三条、なんか食うか? まずは、腹拵えだろ」 「あ、カメダ行くか?」 「朝ご飯食べてきたけど」 「でも、食えんだろ」 「遠慮すんなよ。 今日は夜まで遊べるからな」 確かに食えるが…。 2人の顔を見ると、どうする?と目が言っている。 一瞬で高校生の時と同じ空気感だ。 「じゃあ、夜飯どうする? それによってかな。 あまいもんも食いたいしなぁ」 「あー、ラーメンとか? ここらで食べ放題っていうと…ここか」 3人でスマホを覗き合いながら、あーでもない、こーでもないと話をする。 たったそれだけのことがすごく楽しい。 あの時は、時間が永遠に続いていると思っていた。 会えばあの頃に戻れる。 けれど、“戻れる”だけで、実際の時間は進んでいる。 高校生だった三条達は、高校を卒業した。 そして大学生になり、もうすぐ社会人。 あの頃のようには進めないことも沢山出てくるだろう。 だからこそ、今が愛おしい。 そう思う。

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