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第869話

気が付けば、近所の庭木の梅が咲き始めた3月。 やり残した青春はないかと聞かれ、友人に声をかけた。 「三条っ」 「久し振り」 「おっす!」 田上、吉田との、久し振りの再会だ。 したいこと。 それを考えた時に、時間を気にせず友人達と時間を使いたいと思った。 社会人になれば、金銭的余裕は今より増えても3人の予定がピタリと合うことも減るだろう。 その前に、友人と時間を使いたいと声をかけたら、二つ返事だった。 「三条が会いたいって言うなら、俺はいつでも時間つくるけどな」 「俺も」 「なら、デート中に連絡しよ」 「それは……、内容による……」 「嘘だよ。 ありがとう」 「吉田は、その前に彼女つくることからだろ」 「田上こそっ」 いつでも、あの時に戻れる。 あの時の空気感に、三条はふにゃっと笑った。 この友人達と過ごすことがしたかった。

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