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第868話

締めの冷麺までしっかりと食べきり、風呂を済ませた三条。 手のひらの中で長岡と話をする。 長岡も心配してくれていたらしく、残業をしつつ珍しくもその時間に連絡をくれた。 漸く帰宅したというのにそれは続いている。 「優登、立ってるならお茶持ってきて」 「おん」 ヘアセットした髪を洗い流し、すっきりした。 部屋着に着替えただけでも気分は落ち着くが、ヘアセット込みで武装だ。 入浴を済ませ、本当にダラけることが出来る。 その身体に冷たい麦茶を流し込みたい。 「はい」 「ありがとう」 ゴクゴクと半分ほどを一気に飲む。 お茶が通る場所がスーッとする。 まだ焼いた肉のにおいのする部屋だが、窓の外は雪景色。 換気扇と消臭ミストのみでは、折角洗髪した髪の毛ににおいがつきそうだが弟と蜜柑を食べるのをやめるつもりもない。 炬燵で蜜柑を食べながら、冷たい麦茶。 至福だ。 「そういえば、ばあちゃんがまた蜜柑送ってくれるって。 兄ちゃん受け取れる?」 「あぁ。 分かった。 追跡番号送ってもらったら、俺にも共有して」 「おっけ」 この生活ももう1ヶ月程だ。 長いようで過ぎてみればあっという間だった生活。 1人で自宅で過ごす時間は寂しいと思うこともあったが、宅配など融通も利いた。 そう考えるとそれも利点だったな、とまた1つ蜜柑を手に取った。

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