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第927話

式が終わり、大きな欠伸をすると、田上がやって来た。 「お疲れ。 長かったなぁ」 「長かったな。 欠伸とまんねぇ」 「ラーメン食いたい」 「あー、良いね」 色んなにおいの混ざる会場を抜け、外に出ると新鮮な空気が美味しい。 まだまだ出入口は多くの学生で混雑している。 この波に乗るのも良いが、着物の女の子達にぶつかって期崩れてしまうのもこわい。 知佳ちゃんは大丈夫だよなんて言ってたけど、折角綺麗な着物姿なのにぶつかれない。 着付けだって大変だ。 それくらいの想像力はある。 「なに食う? つか、どこで食う?」 「んー、がっつり食いたい。 がっつり系選ぶから店は田上の好きなの所にしなよ」 「がっつりか。 んじゃ、こことか?」 「お、美味かったところじゃん。 良いね」 こんな風に一緒に飯を食べるなんて暫くは出来ないかもしれない。 引っ越しに就職、仕事がはじまればそれどころではなくなるだろう。 1ヶ月、2ヶ月。 3ヶ月経てば慣れてミスをはじめるというが、3ヶ月で慣れてることが出来るのだろうか。 「ミセドも食いたい」 「ラーメンの後?」 「後。 でも、ラーメンの後だとアイス食いたくなりそう」 「ははっ、分かる。 そん時に決めようぜ」 「うん」 といっても、まだまだ人波は引かない。 もう少し駄弁ってから卒業祝いのラーメンだ。

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