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第928話

「なぁ、年度が明けても、またラーメン食おうな」 「勿論っ! 今度は吉田も一緒に食おう」 にぃっと笑う三条の顔が好きだ。 いつもふにゃふにゃした顔をしているけど、もっと子供みたいに無邪気で。 それに、吉田ともラーメンを食いたい。 例え、ラーメン1杯が2000円になっても。 ……いや、正直者2000円はキツいけど。 「電車まで時間あるし、アイス食いたい。 田上も食う?」 「良いね。 ソフトクリーム食おっかな」 「ソフトクリーム! 良いな!」 「だろっ」 ちょっと贅沢に、ワッフルコーンのが食べたい。 卒業式だし、たまの贅沢くらい許されるだろう。 駅に近いところにあるコンビニに入店すると、同じようなスーツに着られている若い人がチラホラもいた。 学部が違えば分からない。 だけど、隣にいる三条とは出会えた。 それって、すごいことなんだなって思う。 三条みたいに文系じゃないから、上手く言葉に出来ないけど、“たまたま”や“偶然”って本当は“必然”なんだと思う。 なるべくして、出会った。 そっちの方が、すごく大切なことに思えるだろ。 「俺もソフトクリームにしよ。 それと、水買っとくか」 「溶けても手ぇ洗えるように?」 「その前に食いきれるって。 甘いと喉乾くだろ」 三条と吉田と出会えたのが必然なんて、俺は最高に運が良い。

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