928 / 984
第928話
「なぁ、年度が明けても、またラーメン食おうな」
「勿論っ!
今度は吉田も一緒に食おう」
にぃっと笑う三条の顔が好きだ。
いつもふにゃふにゃした顔をしているけど、もっと子供みたいに無邪気で。
それに、吉田ともラーメンを食いたい。
例え、ラーメン1杯が2000円になっても。
……いや、正直者2000円はキツいけど。
「電車まで時間あるし、アイス食いたい。
田上も食う?」
「良いね。
ソフトクリーム食おっかな」
「ソフトクリーム!
良いな!」
「だろっ」
ちょっと贅沢に、ワッフルコーンのが食べたい。
卒業式だし、たまの贅沢くらい許されるだろう。
駅に近いところにあるコンビニに入店すると、同じようなスーツに着られている若い人がチラホラもいた。
学部が違えば分からない。
だけど、隣にいる三条とは出会えた。
それって、すごいことなんだなって思う。
三条みたいに文系じゃないから、上手く言葉に出来ないけど、“たまたま”や“偶然”って本当は“必然”なんだと思う。
なるべくして、出会った。
そっちの方が、すごく大切なことに思えるだろ。
「俺もソフトクリームにしよ。
それと、水買っとくか」
「溶けても手ぇ洗えるように?」
「その前に食いきれるって。
甘いと喉乾くだろ」
三条と吉田と出会えたのが必然なんて、俺は最高に運が良い。
ともだちにシェアしよう!

