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第943話
深夜に目が覚めた。
3時を過ぎたばかりだ。
長岡を見てから、もう一眠りと思ったが寝付けない。
ごろんと寝返りを打ってみてもなんだか違う。
動画を観るか、本を読むか。
ベッドの上で出来ることは限られている。
枕元の灯りをつけて長岡から借りた本へと手を伸ばした。
暫くの間は集中出来たのだが、なんだか…こう…
散歩行こう
なぜそう思ったのかは分からない。
けど、外の空気が吸いたくなった。
そんなの窓を開けたら良いなんて分かっている。
だけど、そうではない。
メモに散歩に行くことを書き残すと枕元に立て掛ける。
まぁ、起きないと思うけど一応…
行ってきます
スマホを手にそっと部屋を抜け出ると、静かに階段を降りる。
夜泣きすることもなくなった弟と両親が寝てる部屋は静かだ。
数年前は、あんなに鳴き声が聞こえてきたのに。
引っ越しの話をしたからだろうか。
なんとなくそんなことに気が付いた。
そのまま静かに廊下を進み、スニーカーに足を突っ込み家を抜け出た。
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