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第944話
まだ真っ暗な中を歩いていると、家いえから光が溢れているのが良く分かる。
この時間にも起きている人がいるのか、それとも電気を点けっぱなしで寝ているのか。
流石に朝ご飯のにおいはしないが、人の気配だけがある。
とても不思議な時間帯だ。
どこ歩こうかな
とりあえずコンビニ行ってお茶買って
朝ご飯って時間でもないしな
部屋着に上着を着ただけの格好では少し寒い。
あったかい飲み物も良いなと考えながら、歩き慣れた道を歩く。
暫く歩いていると可愛らしい子を見付けた。
いつか見た三毛猫だ。
「おはよう」
猫は三条を見てから、小さく鳴いた。
「早起き…じゃなくて、夜更かし?
どこ行くの?」
だけど、次の問いには鳴かない。
ぴょんっと塀の上に上がると、奥へと消えていく。
一旦止まり振り返る顔に手を振ると、また歩きはじめる。
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