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第10話
手にしていたのはワセリンで啓太が保湿剤として普段使っているものだった。
「これで泣いちゃうなら、もっと気持ちよくなったらどうなるんだろうね」
中途半端に脱がされていたボトムと下着を脱がすと、啓太は尻の肉を強く掴んだ。そして朦朧とした俺の脚を広げるとワセリンを纏わせた指を後孔に這わせる。
「や、なに……」
指が強く食い込む感触に慌てて声を上げるも啓太は目を細めたまま少しずつ身体の奥へと指を侵入させた。
異物感は凄まじく、勝手に腹筋がヒクヒクと収縮し、必死で堪えていると啓太はそれを卑猥に動かし始める。
「や、やだっ、やぁ……」
指は内壁を擦るように小刻みに動き、動かすたびにぬるついた水音が響いていた。啓太は中の指を動かしながら、反対の手でものを揉むように刺激し、それをされると無意識に腰がよじれて身悶える。
「や、やっだ……んっ、あっ……ああっ!」
そして、啓太が指を動かすたびに全身が自分の意志とは関係なくうねる感覚に恐怖を覚えかけたその時——、思いがけない快感が身体を駆け巡った。
「あっ、あぁっ」
啓太はその変化に気付きながら、その後も指の抜き差しを繰り返し、どんどん息は上がっていく。
「あ、あ、なに、そこ、あっあ!」
「ここ、気持ちいい?」
その一点を擦られると、尋常じゃない快感が通り抜ける。
さっき自身に与えられていた以上の快感にあられもない声をあげながら、腰が勝手に上下するのを止められない。
中に入れられた指は増やされて、さらにその部分を撫でたり掻いたりされると、自分の中は柔らかくとろとろに溶けていく気がした。
啓太は中を動かしながら、更にものを扱き、両方から与えられる刺激に身体の疼きは頂点に達してしまいそうになる。
「んっんっ、や……だめ、へん……」
もうまともな思考能力など残っておらず、いつの間にか自分で腰を揺すっていたのにも気付かなかった。
それを見た啓太は愉しそうに目を細める。
「そんなに気持ちいいんだ。亜季くん、厭らしいね。そんなに擦ってほしい?」
もどかしさに悶えながら、目に涙を溜めていると、啓太はにんまりと笑い、キスをしながら両方を一気に動かした。
「んっ、んん!」
いきなり与えられた快感に声も出ず、啓太にしがみつきながら絡まってくる舌に一生懸命応え、絶頂が見えたその時だった。
「——すみません。お店ってもう閉まってますか?」
おもてから聞こえた声に身体が強張った。
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