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第11話

 ゆっくりと唇を離した啓太は、もう一度啄むようなキスを落とすとカウンターの裏から返事だけを返す。 「すみません。営業時間は終わってまして……」 「そうですよね。でも、一輪だけで良いので買えませんか?」  何か訳ありそうな客の登場により、血の気が引いていくのと同時に身体の熱が冷めていく。 「すぐに行きますのでそこで暫くお待ちいただけますか?」  しかし啓太はそう言いながら、おもてからカウンターの中が見えないことを良いことに、入っている指を抜くことなくさらに動かし始めた。 (まって、声でちゃう)  思わず声が出そうになったのを手で塞ぎながらかぶりを振るも、さっきまで触っていた中の敏感な部分と根元を同時に扱かれ、冷めかけていた身体は一気に熱を取り戻した。 「……っ……ん」  声を必死で我慢していると啓太は耳元で囁く。 「ちょっと行ってくるから良い子で待ってて」  そう言いながら手にしたのはいつも花を束ねている輪ゴムで、数本を束にするとそれで痛いほど根元を締め付けた。 「やだ、とって……痛い」  軽くパニックになりながらすがるように腕を掴むも、啓太は微笑みながらかぶりを振った。  指が抜かれた後孔はぱくぱくと収縮して、その刺激にも悶えてしまう。 「亜季くん。輪ゴムとっちゃだめだよ。あと、自分で扱いてもだめ。声も出しちゃだめだからね」  耳元でこっそり話すみたいにして言うから息がかかりその刺激だけでも身体が震えるのに、啓太は何もなかったかのように立ち上がって簡単に手を洗うと店先にでた。 「すみません。お待たせしました」 「いえ、こちらこそ営業時間外にすみません」  その男性は今日が奥さんの誕生日だったことをすっかり忘れていたらしく、せめて花だけでもと明かりのついていたこの店にやってきたのだという。 「花とかよくわからないんですけど、やっぱり薔薇でしょうかね」  そんな質問に啓太は花言葉なんかを教えながら接客していたが、俺はそんな会話がほとんど耳に入らないまま地獄のような時間を過ごしていた。 「はぅ……っ、……」  萎えるかと思っていた自身は快感を今か今かと待ちわびて震えながら蜜を垂らし続け、後孔は啓太が弄った指の感触を追うように収縮を繰り返している。  何度も輪ゴムをとってめちゃくちゃに掻き毟りたい衝動にかられる気の遠くなるような時間を過ごしていると、ガラガラとシャッターが閉まる音が聞こえて啓太が戻ってきた。

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