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先ほどの席で怒られた「先輩もいい加減に尚弥と仲直りしてください」の渉太の言葉を反芻する。 律仁だって言葉では言ってこないが、あのライブの一件で藤咲と俺の関係が単なる知り合いじゃないこと。そして好ましくない間柄であることは渉太を介して気づいているようだった。その証拠に律仁が運転席へと乗る前に俺に囁きかけてきた。 「渉太がとられる云々じゃなくて藤咲とのことは俺も渉太と同意見だ。今日のことは渉太に感謝しろよ」と。 律仁は渉太のことを溺愛していることもあってか、何でも聞き入れる甘さを見せるときがある。そして、渉太もいい子だから、それを利用して悪知恵を働くような奴じゃない。それどころか俺に気遣ってくれた。 まぁ当人は食事に遅れて現れた俺を見て驚いていたようだから、律仁が渉太に何も言わずに俺を呼びつけたんだろうけど……。 何だか申し訳ないやらで複雑な心境だった。 律仁は表舞台に出る人間。周りだけではなく、彼の発言や行動は人に与える影響は大きいのは分かりきっていることだか、渉太も少し似たようなところがあって渉太が一生懸命な姿を見てると不思議と自分の背中を後押しされた気分になる。 そんな頑張っている彼を見て、自分も…などと心動かされるとこは少なくない。 今日だって藤咲と蟠りができてしまった渉太もライブの日から仲直りどころか、藤咲が少し渉太に心を許しているように見えたことに驚いた。 本当に律仁と渉太はお似合いだと思う。 自分が二人を仲介しといて、律仁が週刊誌に撮られた時、渉太に気持ちに薄々気づいていたくせに離れるように仕向けたくせに……。

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