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酒は酒屋に茶は茶屋に 8話
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仁side
ケイが帰って来ない………。
もう8時だぞ!
「仁、ソワソワし過ぎ」
ソファーに座った美沙から、そんな指摘。
「仁ママ、いいから座って飯食え」
ハルさんにも言われた。
俺、そんなにソワソワしてる?
「だ、だって8時だぞ!」
「今時の小学生でさえ門限とかないわよ、ケイちゃんは大人よ」
「あんな子供みたいな子がウロウロしてたら補導されるか、変態に拉致………」
美沙の言葉に反論していたら、かなり心配になった。
あんな可愛い子がウロウロしてたら……………………ヤバい!
俺は焦った。
携帯に電話を入れてみる。
何度コールしても出ない。
まさか出れない状態?
まさか、やっぱり変態に拉致?
玄関に向かおうとする俺の腕をハルさんが掴む。
「どこ行く気だよ?」
「ちょっと見てくる」
「だから、まだ8時だろ?」
「携帯出ないし」
「友達と楽しくしてんだろ?」
「でも、………やっぱ見てくる!」
ハルさんの手を払って靴を履こうとする俺の身体がフワリと浮く。
へっ?
がくんと身体に衝撃が来て、視界が回る。
「ちょ、ハルさん」
俺はハルさんの肩に担がれていた。
「お前、ちょっと落ち着け」
「や、おろして」
ジタバタと暴れてみるけれど、俺はそのまま寝室へと連れて行かれた。
「や~ん萌よ。2人とも」
美沙の腐的台詞が聞こえていたようだったが、それどころじゃない。
ドサッとベッドに降ろされた。
「過保護過ぎるぞ仁」
ハルさんは起き上がろうとする俺を押さえつけながら言う。
「過保護……だって、心配でしょ?」
俺は必死でハルさんから逃れようとするが体力の差が出まくりで無理。
「とりあえず、11時くらいまでは待ってやれ」
「だ、だって…………んんっ」
反抗しようとする俺の唇をハルさんの唇で塞がれた。
キスとかしてる場合じゃないし、美沙が来てるのに、ハルさん………、
押しのけようと動かした手はアッサリとハルさんの手に捕らえられ、シーツの上に押しつけられた。
もちろん、両方。
嫌だと反論する為の唇はハルさんの唇で塞がれている。
首を振って振り払おうにも深いキスが気持ちいい。
舌が絡んできて、俺はいつの間にか自分のも絡めていた。
ハルさんのキス、なんでこんなに気持ちいいのかな?
ふいに離れた唇。
惜しむように目を開けるとハルさんの顔。
「仁のその顔好きだぜ、すげえエロい」
どの顔かは分からないけど、ハルさんが俺に好きって言う顔が、俺は好き。
「お前落ち着かせるのはやっぱエロが一番だな」
そう言ってハルさんはまたキスをしてきた。
俺の手首を押さえつけてたハルさんの手は俺の手のひらに重ねられ、互いに絡め合う。
キスも角度を変えて何度も。
くちゅ、くちゅ、ってやらしい音。
「仁、落ち着いたか?」
「うん」
とっくに解放された両腕をハルさんの首筋に回して抱きつく。
俺の上に居たハルさんは横に移り、俺の腰に手を回して引き寄せた。
胸元に顔をうずめるのが何気に好きな俺は胸元に顔を寄せる。
頭を撫でてくれるハルさんのおっきい手も好き。
さっきまでソワソワ、イライラ不安だったのに、なんでかなあ?
落ち着いた。
「ケイにもプライベートあるし、遅くまで一緒に居たい友達だって居るだろ?心配な気持ちも分かるけどさ、もう少し待ってやれよ、なっ?」
ハルさんにそう言われ頷いた。
「いい子だな仁」
ハルさんは髪にキスして、頭も撫でてくれた。
気持ちいいし、暖かいなあ。
「もっとぎゅっとして」
俺からもぎゅっと抱き付いて、ハルさんの温かい腕の中で目を閉じた。
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