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その光は酷く眩しい。(結婚編)ダラス×ルキーノ *
触れた肌は体温が高い。
ダラスはチュニックのような服の裾から素肌に這わせるように手を侵入させると、ちろりとルキーノを見上げた。
首筋にぽちりとついたキスマーク。それを先程つけたときに、ひゃあという可愛らしい声を漏らしたルキーノは、目を丸くしたまま口元を抑え、緊張からくるものだろうか、体は小刻みに震えているようだった。
「なにも怖いことはしない。痛いこともしない。お前はただ横になって、俺に身を任せていれば良い。」
「せ、せめて電気をおとしてください…そんな、素肌を見られるのは嫌です…」
「わかった。これでいいか?」
部屋の照明を暗くする。ルキーノは漸くホッとしたようで、少しだけ肩の力を抜いた。
ダラスはチュニックを胸元まで捲りあげると、そっと晒された腹に手を添える。
ふにりとした柔らかな素肌は滑らかで、押し付けた手の平の指の隙間に吸い付くような柔らかな腹に、ルキーノは頬を染めた。
「ふ、ふとってますか…」
「いや?普通じゃないか?」
「でも、もむではありませんか…」
「可愛いなと。」
かわいいなど、と尻すぼみになっていくルキーノに笑うと、ダラスはシャツのボタンをはずして素肌を晒す。
引き締まった体が、薄暗い中でもよくわかる。
同じ年嵩なのに、こうも体格が違うのはなぜだろう。薄暗い中、そっとダラスの手のひらが素肌を這って背筋に触れる。抱き込むような形で差し入れられた手が、ルキーノの尻に触れた。
「や、やっぱやめにしませんかっ」
「しない。」
「で、でぁっ!?ゆ、ゆゆ、ぅわ、あっ!」
男らしい手のひらが、そっと下着の中に入り込む。もにりと尻を揉まれて声がうわずると、くつくつと喉奥を震わしてダラスが笑う。
なんでこの人はこんなに余裕なのだろう。ルキーノは許容量を遥かに超え、その手から逃げるように腰を浮かす。
硬く熱いものがゴリリと当たり、性器だとわかると息を呑んだ。
勃っている。兄が、このつまらない体に興奮しているのだ。
胸の痣に舌を這わされ、思わず身体が跳ねた。薄い胸の間に顔を埋めたダラスの瞳に捉えられ、ルキーノは思わずコクリと喉を鳴らす。
「…覚悟を決めたのだろう。ルキーノ」
「あ、や、…やさ、しくして…」
震える声で呟いた。ダラスは吐息のような掠れたこえで返事をすると、胸元からそっと下肢にむけて啄むような口付けを贈る。
腹筋もなにもない、柔らかな腹が情けなく震えた。
く、と息が詰まった。恥ずかしいのと、緊張と、そしてなにかすごいことが起こるのかもしれないという、ほのかな期待。
いつの間にか脱がされ、空気に晒された小振りな性器を隠すようにしてルキーノが手で覆う。
「やだ、っ…みないでください…」
「手をどけろルキーノ」
「わ、笑うからやだ…」
「笑わない。」
膝まで閉じるほどの抵抗ぶりに小さくため息を吐く。このままではいつまでたっても埒があかない。
顔を染めながら首を振るルキーノの腰を持ち上げると、ダラスはルキーノの尻を割り開く。
「ひ、っ…やだ、やだやめて!」
「好きに恥ずかしがっていろ。俺は好きにさせてもらう。」
ムスッとした顔のダラスが晒された慎ましいすぼまりに舌をベロリと這わした。熱くぬめる感触が、ルキーノのあらぬ所を這っているという衝撃に、思わず懇願とも取れるような悲鳴を上げる。
「ん、…ほら、集中しろ。」
「ぁ、っあ、あっうそ、や、やだってば、や、や!」
これだけ嫌だと言っているのに、ダラスは指と舌先で器用にルキーノをほぐしていく。ぬちぬちという聞くに堪えない水音に聴覚を支配されながら、この甘く痺れる様な感覚は知らない。そう体が訴えてくる。
いつしか性器を隠していた手の隙間から、とろとろとした先走りを伝わせていた。
尻の中に、こんなに気持ちが良いところがあるだなんて知らなかった。
「っぁ、ああっあ、や、やだっ、そこなに、っ」
「お前が素直になるところだ。」
「ばか、ぁっ…ひぅ…あ、あー‥」
ぐりり、と二本の指先で強くしこりを押された。
まるで電気が走ったかのように全身の神経が活発になり、どぷりと溢した精液が手の隙間から溢れる。
がくんとベッドに身を投げ出す。まるで視界を小さな光が明滅したかとおもうと、あれだけ頑なに見せたがらなかった筈なのに、気がつけばルキーノは両手を投げ出し、その薄く色づく性器を晒していた。
「大丈夫だ、大丈夫。」
「ふ、ぁ…?」
ルキーノの大好きな声でダラスが宥める。
いつの間にか脱いだのだろう。足の間のダラスがゆっくりと両足を担ぐようにして見下ろした。
ふるりと首をもたげた自身のこぶりなそこはしとどに濡れ、それを見られたくなくて再び手を伸ばす。それなのにダラスは、指を絡めて邪魔をするのだ。
顔の横に手を縫い付けられる。なんでそんないじわるをするのだろう。
ぼやけた思考で手をゆらゆらと動かしながら抵抗をすると、前屈してきたダラスにきつく抱き込まれた。
「に、いさん…?」
「やめろ、悪いことをしている気になる。」
「じょうだん、いえるんですね…」
「こいつ、」
ムスっとするダラスがかわいい。だって、悪いことだなんて今更でしょう。そう言うと、口をへの字にして見上げられた。
「たしかにな、それにまた俺はお前を犯すし。」
「へぁ、」
「なんなら、孕ませる。」
濡れたルキーノの手のひらを取り、ぬるりと舌を這わせる。汚いからやめてと言おうとしたのに、散々泣かされるまで解されたそこにダラスの性器があてがわれ、ああ、これは現実なのかと他人事のように思ってしまった。
「ぃ、いた…い?」
「多少は、刺されたときよりは痛くないだろう。」
「ひ、っ…ひかくが…ぁ、あっ!」
「っん、」
ぷちゅりとあてがわれ、そのまま軽口を叩かれながらゆっくりと先が入ってきた。たしかに刺されたときより痛くはないが、痛みの程度が違うのだ。あの時は体が冷えてから、突然焼かれたような痛みが広がったが、今は痺れてぴりつく痛みであった。
「あ、あ、あ、ま、まって、や、ぁっ」
「ん…っ、んぐ…っ、」
「ひ、ひろが、ぅ…っ…」
「ほら…、っ、はん、ぶん…」
手を取られ、そっと繋がりに触れさせられる。うそだ、信じられない。こんなところに入るだなんてと目を見開くルキーノの震える指が、それがリアルだと教えてくれる。
熱い。そしてお腹がビクつく。圧迫感がすごくて、ルキーノの内臓が引き伸ばされていく気がした。
「ぁ、っ…ゅ、ゆぅし…て…も、もうむり…ぅ、あ゛っ!」
細腰を掴まれ、ぐいっと引きおろされる。
ぱつぱつに張ったそこに飲み込まれていって、駄目だといったのにダラスは太い幹のところまで押し込んてしまった。
信じられない、こんな、体を根本から作り変えられるような衝撃的なことが、ルキーノの内側で起こっている。
口を抑え、震えながら深呼吸をするルキーノをきつく抱き込んだダラスが、こめかみに血管を浮かばせるほど何かを堪えている。
「ぁ、あくっ、ひ、ひぅ…く、るひ…」
「なじ、むまで…待つから、たえろ…」
「っ、ま、ぇと…ちが、う…」
「…過去の自分を殺してやりたいよ。」
前は、馴染ませないまま付き入れたし、馴染む前に揺さぶった。なのに今回はこんなに優しいから、ルキーノはこれが本当の行為なのかとゆっくりと理解して、じんわりと脳が溶けていくような感覚がした。
暴力のほうがよっぽどいい、こんな、大切にしていると言われているような優しさが滲むセックスなんて、ただ恥ずかしいだけだ。
前はパニックで、痛くて、恥ずかしいとかなんにもなくて、ただ死んでしまう恐怖だけだったのに。
「きついか…」
「し、にそ…」
「やめろ、洒落にならん。」
「あは、は…」
ぐっと眉間にシワを寄せたダラスが、心配そうな顔で見つめる。こんなに怖い顔をしているのに、心配しているのだとわかってしまうのは、僕だけだろうなあ。
ルキーノは腹の中側で膨らむ性器にひくんと身を震わしながら、淵が痺れて性器を絞ってしまうような収縮が徐々に始まったことを感じた。
「ぁ、やだ、あ、あ、っな、なん、か、かって、に…あ、っあっ!」
「っ、…ん、すご、いな…っ…」
「こ、こわ、こわいっ、に、にいさ、っ」
ひくん、ひくんと体が勝手に馴染んでしまう。太い幹を締め付けるたびに、胸の内側が炭酸のように弾けて、頭が茹だる。
泣きたくないのに涙も出てきて、なんだが感情が追いつかない。
臍のすぐ下にダラスがいる、優しく髪を撫でられるようなやんわりとしたペースで、ゆらゆらと内蔵を擦られれば、ひっくと子供のような嗚咽混じりの声が漏れた。
「ひ、っ、ひぅ、あ、あ、あっ」
「なにも、かんがえるな。大丈夫だ、すぐにおわる。」
「ぁあ、あ、た、ってぅ、や、こ、こすれ、っ」
「勃つなというほうが無理だ。」
硬い、熱い、そして自身のこぶりな性器までぴょこりとたって、ダラスが腰を動かすたびにこすこすと腹に擦れてしまう。
やめて、ばかになる、しんでしまうから、もうかんべんしてください。そんなふうな言葉を言ってるはずなのに、口から出るのは単語にならない声だけだ。
「んぁ、あ、っああっあっや、ひ、ひぬ、っい、ぃう、ぁ、あっ」
「ん、っ…ここ、だな?」
「ゃら、あ、あっやぇ、へ…こつこつ、しなぃ、れっい、いく、ぁ、あっ」
「やら、しいな…」
ダラスの胸に手を置き、力を入れてどかそうとしているのに、全然だめだ。腹の中側が蕩けて、尻の穴から訳のわからないぬるつきを絡ませながら、じゅぷじゅぷと端ない音を立てて揺さぶられる。
奥がへんだ、なんだか吸い付こうとして、降りてきている。何だこれ、一体何が降りてきているのだろう。
ルキーノの腹に刻まれた陣が淡く輝いている。この中に注ぎ込めば、正しく孕む。
ダラスは目の前が真っ赤になりながら、大きな手のひらで腰を乱暴に掴むと、捩じ込むようにして深く貫いた。
ルキーノの背筋が弓なりにそらされる。理性がじりじりと興奮で焼かれていく。
気に入りの雌を孕ませることで思考が支配され、ルキーノの細腰を固定しながら小刻みに揺さぶる。
「ぁあ、あっ!あっ!ぃ、いくっいい、やぁ、あっあだ、めぇ、えっい、いぅ、ぁ、あっあーー‥!」
「くそ、う、っ…はら、め…!!」
「ひぅ、…っあ、ぁ…」
ぐっ、と奥の弁を押し開くかのようにねじ込まれた性器、叩きつけられた精液を正しく受け止めたルキーノの腹に刻まれた陣をなぞるように、まばゆい光が放たれる。
それがゆっくりと終息していくのを眺めると、ダラスはひくつく体を持て余しているルキーノの腹からゆっくりと性器を引き抜いた。
「ルキーノ、」
「っ、ぉわ、…た…?」
涙と汗で濡れたぐったりとした体を抱き込むようにして背を撫でた。
じんじんとする腹を恐る恐る触れたルキーノに、ダラスは小さく微笑む。
「陣が正しく光った。間違いなくお前の腹は俺の子を孕む。ありがとうルキーノ。」
「ふあ、…」
きつく抱きしめられ、ぼんやりとした追いつかない頭で、ルキーノは擦り寄る。
ついに、これでもう逃げられない。ルキーノはずっと兄の幸せを願ってきたが、その兄がルキーノを囲いたがったのだ。ならば、これが兄の幸せなのだろう。
でも、その執着心を感じてほのかな愉悦に浸っていたルキーノは、完全におとされた。だって、もうこんなの、離れられないだろう。
「すきです、」
「俺は愛している。」
心地いい腕の中で、ダラスに対して素直に愛を囁くには、まだルキーノは大人ではなかった。
それでも、まるでわかっていると言わんばかりの兄の口付けが悔しくて、そしてとても気持ちが良かった。
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