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聖女はこの世界が嫌い

異世界転生なんて名ばかりで、死んでも天国に昇るだけと思っていた。だけど、目が覚めると異世界で、聖女とやらに祭り上げられた。 「聖女って女じゃんねー。」 窓の外を眺めながら呟く。 少なくとも名前は改変してほしい。 聖男的な?言い難いな。 「聖女様、お清めの時間です。」 「はいはい。」 聖女はこの世界にとってなくてはならない存在らしい。みんな畏まって何が楽しいんだろうね。 「聖女様、そろそろそのやる気のない態度やめませんか?」 騎士が言う。 この騎士っていうのも実を言うと面倒くさい。 国の中でも類稀なる才能の持ち主で第3騎士団団長らしい。お国を守るのに俺の御付きとかご苦労なことだ。 そもそもお清めなんて寒いだけだ。小池で身体を洗って、そのままじっと一時間祈るのだ。 まぁ、形だけに決まってる。 膝をついて指を組んで祈るだけ。 頭の中では妄想が繰り広げられてる。 冷たい水で身体を洗われ、すぐに祈れなんて鬼畜の所業だ。人にやれって言うなら自分もやれってんだ。 「聖女様聞いておられますか?」 「はいはい。」 「はいは一回。」 おかんか。 たくっ…。 今日はなんの妄想をしよう。 夜ご飯の妄想でいいかな…。 「聖女様、あなたが祈らなければ、この世界は忽ち瘴気で満たされてしまうのですよ。」 「はいはい。」 何度ともなくその話は聞いた。それでもピンとなんて来ない。だって、俺には関係ない話だから。 「聖女様。」 「煩い。祈ればいいんだろ。」 この男は嫌いだ。 俺が自由なく働くことが当たり前だと思ってるクソ野郎だから。 早く、終わらせたい。 何もかも早く。 大神殿。 王都に位置するそこはあまりに広い。 そして、俺の寝床だ。 「聖女様だ…。」 「あの役立たずの…。」 「聖女様が来たってのに、一向に災悪が終わらない。何をやってるんだ。」 「いっその事こと、殺して…。」 「おいっ、それは流石に口がすぎるぞ。」 もう遅いっての。なんでこんな奴らが住むこの世界を守らないといけない。悪口悪口悪口ばっかり。 そして、目の前の騎士は、名ばかりの護衛は、何も反論しない。少しくらい、護衛の役割を果たしてもらいたい。 「聖女様、本日の予定は…。」 「今日は休む。」 一言告げた途端に分かりやすく眉を寄せる騎士。顔に出すなんて、いい大人が呆れたものだ。 「どうせ効果なんてないんだから、休んだって同じだよ。」 「それはあなたがっ!」 「どうだか。…そうだ。お前がいつも通りあれしてくれれば明日からちゃんとまたお祈りしてあげる。」 硬い顔。 つまらない男。 嫌いだ。 本当に。 「分かりました。」 ほら、こうやってお国の為ならなんでもやるんだ、こいつ。なんの意味がある。嫌なら嫌って言えばいい。 言わないから嫌いなんだ。 ズボンのチャックを下げ、中から逸物を取り出す。 まずは手で軽く触れる。最初は優しく、段々と強く刺激を与えて。上から下へ。擦るように。相手の気持ちのいいところを重点的に。勃ち上がったところで、ペロリの舐める。 騎士の顔が歪む。 そう、その顔が好きだ。 裏筋を丁寧に舐めてから、頬張るように咥えた。硬いし太い。口の中でぺろぺろと舐める。先の方を、鈴口を丁寧に。そして、パンパンになった頃を見計らって、奥の方へ突っ込む。顔を上げ下げして、刺激を与え、さらに手でも擦る。 唸り出す騎士。そろそろだろうと思ったその時、騎士は俺の頭を掴み、喉奥まで逸物をぶち込んだ。びゅるびゅると出る精液。喉に詰まり、激しく咳き込む。 「げほげほ!」 「す、まない…。」 「童貞かよ。」 精液を吐き捨てて、自身のズボンを下げる。騎士の上に乗り、まだ硬い逸物を下に置き、腰を下ろす。ぬっぷりと入っていく逸物。息が上がる。 「んっ!」 一瞬の快楽。それでもなお、腰を下ろす。最後まで最後まで。辿り着いたとこは奥底。太いしデカい。 「入ったぁ…。」 騎士の肩に手を置き、快楽を調整する。決してこの男は俺を愛していない。だからこの男の顔が歪むのは愉快だ。俺のことで頭がいっぱいになればいい。そして、大っ嫌いな俺を抱いたことを後悔すればいい。いや、もう後悔でいっぱいだろうが。 腰を振る。体重をかけ、奥の方まで逸物を頬張る。快楽が上回る。ああ、気持ちがいい。気持ちがいい。 「おまえがっ、大っ嫌いな、俺を、だいて、んっ!るんだぞ。ほら、後悔しろ…。後悔してっ!あっ!後悔して死ね!」 びゅるびゅると大きな音を立てて、俺の腹に精液が漏れた。快楽の波で瞳を閉じる前、男の顔は後悔で染まっていた。 約束通り、お祈りをする。ただ、効果は全くない。嫌われているのだから当たり前だ。誰にって神にだ。 「神様、どうかこの世界をお救い下さい(神様、どうかこの世界を滅ぼして下さい)」 まぁ、そりゃそうだろうな。 「聖女様、いつになったら私たちは救われるのですか?作物は枯れ果て、村は病で満ちています。どうか貴方様の力でお救い下さい。」 ほざけ。作物が枯れ果てるのなら、枯れない方法を自分で考えろ。もしくは保存のきく料理やら食料やら備蓄しとけ。病は薬でもなんでも自分たちで発明しろ。人に頼るな。小賢しい。人に頼ろうとするから進化できないんだ。 「父様!そんな奴に頭を下げないで。そいつは何にも役に立たない!俺たちは俺たちで生きるんだ!」 ガキがわーわーとご苦労なこって。そいつを睨むと怯んだように身体を固まらせた。 「お前、名前は?」 「お、俺はスライズ村の村長の孫!グレエだ!お前なんか聖女でもなんでもねぇ!この俺がこの村を守るんだ。」 「…グレエか。」 彼の手を握り祈る。 「神の御加護があらんことを。」 「えっ…。」 「人を助けられるのは人だけだよ。俺には何も救えない。俺なんかに頼るよりよっぽど自分たちの知恵を振り絞った方が身のためだ。ほら、行け。きっとこの世界は救われる。」 グレエと名乗った少年はポカンと口を開けている。 変な顔だ。 ふんっと鼻息を鳴らし、その場を立ち去る。 もう少しでこの世界は救われる。 きっとこの世界は救われる。 「新たな聖女様が召喚されたぞー!」 うおおぉぉぉぉおぉぉぉぉぉぉ! なんて雄叫び。どれどれと窓の外を覗く。可愛らしい少年の姿が見えた。 だからなんで聖女なんだよ。少年の側には例の騎士がいる。戸惑っている少年に優しく声をかけた。 ああ、懐かしい。 初めの頃は確かにあんな感じだった。俺が使い物にならないから徐々に態度も変わったけど。そして俺はお役御免というわけだ。ガチャリとドアが開く音がした。 「聖女様。いえ、元聖女様。お分かりのように新たに聖女様がお見えになられましたので、貴方様には帰って頂きます。」 「不要になったから帰れと?」 「ええ。」 「本当に帰してくれるんだ。それは嬉しいな。早く帰して。」 「かしこまりました。では、こちらに。」 従者が案内する方へ向かう。 帰れる。帰れる! このままあの場で死ぬかと思った。 違った。 なら、もしかしたら。 もしかしたら! 「えっ…。」 肩を押され部屋に入れられる。魔法陣も何もない普通の部屋だ。 「どういう…。」 「役立たずのお前が簡単に帰れると思ってるのか?」 「は?」 「帰れるわけねーだろ!」 「ぐふっ!」 腹をこれまでかというほど強く蹴られた。なんで…。理解する前にまた蹴られた。 「お前のせいで俺の両親は死んだ。お前が役立たずのせいで死んだんだよ。お前が死んでたら、新しい聖女様が現れてたかもしれない。お前のせいで、お前のせいで!」 ああ、なるほど。 逆恨みか。 逆恨みのせいで死ぬのか。 殺されるのか。 「ただじゃ殺さない。生きていることを後悔しながら死んでいくんだ。」 服を千切られ、俺の上に跨る男。浅い息の俺に男は容赦なく自身のモノを俺の中にぶち込んできた。 「あぐっ!」 慣らしてもないのに、無理やり突っ込んだせいか、たぶん切れた。 痛い。 痛い。 痛い。 「ちっ、濡れろよ。くそが。これだから男はよぉ!」 身体を打たれ、髪を掴まれる。助けを呼んでも誰も来ない。新しい聖女に喜んでいるから。こんな時くらい助けてくれてもいいのに。 …来るはずないか。 だって、本物の聖女様なんだから。 「ゲホッゴホッ」 朦朧とする意識の中で男が射精しているのが分かった。穢らわしい。なのに皮肉る力ももうない。 カラカラと口の中が渇く。 痛いのにもう痛くない。 何も感じない。 死ぬのかも。 ああ、死ぬのか。 やっと死ねるのか。 死にたい。 もうやだ。 消して。 消されたい。 悪魔でもなんでもいい。 助けてーーー。 「聖女様だ!」 「これで世界は救われる!」 「ああ神は我らをお許しになったのだ!」 絶望を味わえと世界は言うのか。 「あぁぁぁあああああああああああああ!」 頭を掻き、絶望の叫びを上げた。 笑えない。 笑えない。 何回目だこれで。 お願い、お願いだ。 俺をコロシテクレ。

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