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第43話 掴まれた腕
相変わらず僕の横でニコニコと振舞う店員を他所に
僕はウィンドウの外を見た。
それらしき人影は見当たらない。
“やっぱり気のせい?”
僕はドキドキと早なる心臓の音を抑えるように店員を見つめた。
彼女は
“?“
としたように僕を見つめ返すと、
またニコリと微笑んだ。
「ごめんなさい!
僕、間違ってここに入ったみたいで!」
緊張して早口でそう返すと、
「大丈夫ですよ〜
折角ですので、ゆっくりと見て行って下さいね〜」
そう言って彼女はス〜っと人の間を割って別の人へと話しかけに行った。
フ〜っと小さく息を吐いて店内を見回すと、
噂に聞いていた
“カワイイ”
が僕の目に飛び込んだ。
日本の小物は可愛いものが多い。
アメリカではカワイイが外来語になっているほどだ。
“成る程……”
そう思いながら商品の陳列を眺めていると、
また視界にサッと動く人影が入った。
”え? まさか……
僕がショップに入ってからは誰も新しい客は入って来ていない!
こことは違う裏口がある?
いや、そんなはずは無い。
裏口は一般人が入るところじゃ無い……
でも彼らはそう言った通りも上手く使いこなすだろう……“
僕は慌ててショップを飛び出た。
「有難う御座いました~」
そう言う店員の声を後にし、
急いで外に出ると、
僕は背を壁につけて震える手で携帯を取り出した。
トムの連絡先を押すと、
携帯が一度鳴ってプッと切れた。
“あれ? 話し中?”
もう一度かけ直したけど、
結果は同じだった。
“そうだ……カブちゃん!”
僕はカブちゃんにも電話した。
でも結果は同じ。
一度鳴ってプッと切れた。
“おかしい……
僕の携帯に何か仕掛けられてるのかも……”
今日はこのまま研究室に行くつもりだった。
でもやめたほうがいいかもしれない……
僕は空を見上げると、流れる雲を見つめた。
そしてハッとした。
“トム……
トム達は大丈夫だろうか?!
僕の家の所在は既に割れている。
いくらトム達が訓練を積んでると言っても
相手はどういう人達か全く分からない……
彼等もトム達のように……
ううん、もしかしたらトム達以上に……”
そう思うと居ても立っても居られなくなり、
携帯を鞄に仕舞った瞬間、
視線を感じた。
“変だ……
何故今日僕はこんなに冴えてるんだろう……
それだけ危険な状況にいるというんだろうか?!
でも、こんな平和な日本の空の下で何か起きる訳はないよね?!”
そう思っても不安は拭い切れない。
僕は気を取り戻すと、早足で歩き出した。
“これは気のせいなんかでは無い!”
やっぱり誰か僕の後をつけて来ている。
僕は一気に走り出した。
その瞬間、後ろから誰かに腕を掴み取られた。
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