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1-4-3 芹澤柚希
………僕はどうなったんだろう……。
「リシェール!」
僕を…リシェールを呼ぶ声。
そうだ、今の僕はリシェール。
ゆっくりと目を開いた。
目を開くとここは何処だろう…見覚えはある。
「リシェール、しっかりしろ!」
もう一度はっきり呼ばれて身体が揺すられる。
目の前の人へと視線を向けて驚いてしまう。
「う、ウェルナート様!?」
そこには分かたれてしまったはずのウェルナート様の姿。
でも、髪や目の色が違う。
目の前の彼は目も髪も黒だった。
「その呼び方はリシェ……柚希なのか!?」
柚希と呼んだから僕を知っているっぽいけど…。
全く状況がわからずオロオロしてしまう。
「落ち着いて聞いてくれ、説明するから。まず、俺の名前は『鷹宮涼一 』で、ここは柚希の部屋だ。」
ウェルナート様にしか見えない涼一さんの言葉で周囲を見回すと、確かに僕の部屋だった。
帰って来れたんだ。
すぐにベッドから起き上がると鏡を見た。
リシェールにそっくりだけど、髪も目も、少し茶色掛かった黒色の、僕に戻ってて安堵する。
すぐに涼一さんを振り返ると、もう一つ気になっていた事を思い出した。
「確か…僕は階段から落ちて…。」
「寸でのところで柚希の姉さんが襟首を引っ張ったから大丈夫と言っていた。」
階段から落ちるとか今時…涼一さんも思ったのか軽く噴き出していた。
……恥ずかしい。
「リシェと分断された俺は、元の世界に戻されてから直ぐに、柚希の姉さん に連絡を取って柚希を探した。柚希の部屋で探し当てると、柚希の姿をしたリシェールが居たんだ。」
入れ替わっている間、ちゃんとこっちの世界も動いていた事がわかる。
「さっきまでリシェールと柚希を救う方法について話し合っていたら、急にリシェールが倒れた。…それで今に至るだ。」
そう言えば…暗い闇しか見えなくて、急に光を感じた。
『ごめんなさい』って聞こえたから、きっとリシェールが…。
「それで涼一さんは、僕と居たウェルナート様なんですか?」
「まあそうなんだが…。」
やっぱり!
でも何か歯切れが悪い?
「複雑なんだがよく聞いてくれ。まず『ウェルナート』というのは、柚希の姉さんが、テレビで見た俺をモデルに作った『ゲームキャラ』なんだ。」
姉さんが方々に迷惑を掛けていることを知らされる。
そして思い切ったような表情になった涼一さんが、口を改めて開く。
「そして俺は『アレクシウスの生まれ変わり』なんだ。」
余りの展開に目を見開いて涼一さんを見つめた。
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