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2-4 攫われたリシェール
衣服が汚れてしまったので、風呂から上がると婚約式の時の衣装に着替えた。
ゲームでは汚れは残らないので、衣装のストックが……あるにはあるけど見せて歩くには抵抗がある服ばかりで……当然アレク様が用意した服ばかり。
情報収集しようと酒場やギルドなんかも覗いてみたけど、ルキウスを滅ぼした人物の事は何も聞き出せなかった。
2時間ぐらい経過したので平気かな?
そう一人で潰せる所なんてファンタジー世界では中々無い。
夜だから飲食店も閉まってるし、ギルドや酒場は柄が悪そうな人とか居たので遠慮した。
だからこっそり中を窺って……うん、物音はしない。
ノックしてドアを開けると、血塗れになって倒れてるヨウタさんの姿が!
「よ、ヨウタさんっ!」
すぐに治癒魔法を展開し全快させる。
「ユズキ……悪ぃ、しくった……。」
怪我は治っても出した血液は戻らないから辛そうだ。
「じっとしてて下さい、ヨウタさん!」
起き上がろうとするヨウタさんに布団を掛けて、貧血で冷えた身体の保護をする。
「リシェールが……連れてかれた……サフィーニに。」
ここに来てとんでもない名前が出て来た。
「あいつ……変な力を使って……。多分国を滅ぼした奴と同じ…。」
「何処へ行ったかわかりますか?」
「ルキウスに行くって言ってた。」
サフィの執着が国に向かわせてるだけならいいけど、国を滅ぼした奴の元に戻ったとすると……最悪リシェールが人質に取られる。
最善なのはヨウタさんの回復を待って……そんな時間無いよね。
「ヨウタさん、大人しく怪我治して下さい。僕が行きます。」
「……ちょっとでも動けるようになったら、必ず行くから…。」
部屋を出てすぐ宿の主人に、ヨウタさんの看病を任せる。
ルキウスはあっちの方だって。
教えて貰った道を一人で進む。
徒歩で何日掛かるんだろう……。
そもそもサフィの移動手段はどうなってるのかな?追いつける?
その時目に入ったワイバーンに近付く。
魅了でテイムして乗り、ルキウスの方角へ飛ばす。
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