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3-1 姉を求めて

「姉さんが行方不明?」 突然電話が掛かって来てそう告げられた。 電話の相手は姉さんの旦那のラデルト義兄さんだった。 何でも義兄さんと姉さんは特殊な絆があって、互いがこの世界に居るかどうかわかるらしい。 「とにかくすぐに心当たりを探して連絡します。」 急がないと…だってこの世界に居ないって事は十中八九あっちの世界だよね。 あの姉さんが義兄さんに連絡しないわけが無いから、かなり拙い状態じゃないのかな? でも、あっちの世界に行くには…ロイヤルラブオンラインを通らなきゃいけない。 涼一さんが帰るまで待てばいいけど、姉さんの身に危険が起こってるとしたら、時間はあんまり無い気がする。 でも、一人でログインして…いや怖いよ。 だけど、姉さんと天秤に掛けたらやっぱり助けに行かないと。 僕は涼一さんに書置きを残して、寮から一番近い涼一さんの家にお邪魔し、フルダイブ機を借りた。 世界に入ると出来るだけ目立たないようにこそこそと、人が居ない所や見られていない事を確かめて異世界を目指す。 「ゆ……リシェ!」 いきなり名前を呼ばれてびっくりした。 「え、リシェール!どうして?」 「部屋に行ったら涼一に宛てたメモがあった。…涼一には連絡した。」 よくこんなにこそこそしてたのに僕ってわかったなって不思議だったけど、それどころじゃないし、リシェールが居てくれるなら安心だった。 「御免ね。一刻も早く様子を確認しなきゃって。」 リシェールは黙って頷いた。 時折変なナンパみたいなのとか来たけど、リシェールが動けなくしたり意識を失わせてくれてたので、時間もかからず異世界に行けた。 「リシェール!と柚希も一緒なんだ!お帰り、らっしゃーいv三人でお風呂はいろっか?」 陽太さんが迎えてくれたけど今日も通常営業だった。 「それより、柚希に似た感じの女性を見なかったか?」 リシェールは陽太さんの言葉をスルーして問い掛ける……ちょっと可哀想。 「ん-、あ、そういえば居たかも。金髪でロングヘアのすっごいおっぱいがおっきい!」 おっぱいの辺りはツッコムべきだったのかな? っていうか、金髪? 姉さんは茶髪だ。 そっか、アバターが金髪の可能性があるんだった。 実際僕も今金髪だし。 「どっちに…何処に行くとか?」 「ん-、見かけただけだしねぇ。」 どうしよう、いきなり手掛かりが無い…。 時間も無いのに……。 「柚希!?な、泣かないで!」 慌てた声で陽太さんが僕を抱き締める。 泣きそうな顔してたんだ……。 と思ったらいきなり陽太さんから引き離された。 リシェールが陽太さんに腹パン入れていた。 背後には僕を引き離したりょ…アレク様が居た。 「あ、アレク様、速い!」 驚いて振り返って顔を見てしまう。 「仕事を振るのに少々手間取っていたが、リシェールの連絡でぶん投げて来た。」 「あ……御免なさい…。」 「こういう時は有難うだろ?」 言いながらアレク様があちこちキスしてくる。 「ひ、人前っ!」 恥ずかしくて慌ててしまう。 「アレクシウス、今それどころでは無い。」 この場で今一番多分冷静なリシェールが声低くアレク様に言う。 たまーに仲悪いんだよねこの二人。 「…それでリシェ、探知は使ったのか?」 「あっ…!」 焦る気持ちでいっぱいだったので、忘れてた! すぐに探知魔法を使うと……。 「……姉さんは居ましたけど、この世界だけどこの世界じゃ無いような…。」 自分で言っててわけがわからない。 「……冥界、あくまでも可能性だが…。」 アレク様が少しだけ考えた後そう呟いた。 「冥界……。」 ん、何かどっかで聞き覚えが、何処だっけ? 「冥界自体は行く方法はあるが、万が一冥界神が絡んでいるとしたら、俺達では倒せない。」 ……また行き詰まった、今度こそ本当に……。 「…俺が考えた可能性を…試すか?」 泣いてしまった僕をしっかり抱き締め直してアレク様がそう言ったけど、もの凄い渋い顔をしてる。 「とにかく、僅かでも可能性があるなら、僕は何でもします!」 急がなきゃいけないと思うと気が急いてしまう。 でも神とか絡んでるのは間違いなかった。 だって姉さんが捕まるなんて、それぐらい強い相手だって確定だし。 「…方法を説明する。」 そう言ってアレク様が口にした案は、その場に居たみんなが凍り付く内容だった……。

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