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EX5 アレクシウスの初恋1

side:アレクシウス リシェール・ファルセア・シュゼ・ルキウス王子が城に遊びに来るようになったある日のこと。 無属性の魔法の鍛練を丁度終えた時の事だった。 「せっかく訪ねて来てくれたのに済まないが、汗を洗い流してくるので、少々部屋で待っていてもらえるか。」 汗臭い事を嫌がられたらと思うと、今もリシェールに近付く事が出来なかった。 「あ、じゃあ僕も一緒に入っていいですか?」 …今何て? 「ん?」 返事が無かった事に首を傾げるリシェール。 「あ、嫌ですよね!おっきいお風呂はみんなで一緒に入るって城の子達から聞いていたので!」 城の、平民の子達の事だな。 王族は他人と一緒になど入るのを聞かないが…。 「嫌ではない。むしろ……。」 続きはフェードアウトさせる。 『一緒に入りたい。』 心の中だけで続きを言った。 「一緒にお風呂に入る事でより仲良くなれるそうですよ。」 風呂…裸! 既に俺は自分の理性に問い掛けていた…「耐えられるのか?」と。 人払いをした脱衣場で、俺の心の中の戦いを全く知らないリシェールは、思い切り良くさっさと脱ぐ。 俺もどうにか脱衣しながら、リシェールの身体を当然見てしまう。 想像していた以上に綺麗だ。 白くきめ細かい肌。 少年特有の薄い胸板。 そして……薄桃色の…。 我に返ってリシェールの顔を慌てて見ると、何故か視線を逸らして顔を赤くしていた…可愛い。 いやらしい目で見ていた事には気付かれていないようだ。 ちなみに腰から下はタオルを巻いていたので見る事が出来なかった。 背中を互いに洗うのは今はまだ理性と相談した結果言わずに居た。 しかし、湯舟の中ではタオルは厳禁。 先に湯舟に浸かっていると、恥ずかしそうに躊躇いながら腰のタオルを外すリシェール。 勢いよく剥ぐよりよほどエロい! 実は最初から誘われていたのでは…。 …まあ実際はこの子はそういう子では無い事は知っている。 手で股間をちょっと隠すようにしながらゆっくりと湯に入ると、まだ若干赤い顔で俺の方へ笑顔を向けて来た。 「本当に、一人で入るより楽しいです。」 「なら良かった。」 何とか会話しながらもチラチラ身体の方へ視線をやってしまうのが抑えられない。 「そういえば、もっと仲良くなると『尻の孔を見せ合う仲』って言うそうなんですけど、本当ですかね?」 口に物が入っていたら噴き出していただろう…。 誰だ、そんな事を教えたのは!……まあまた平民の子だろうが。 「さすがに恥ずかしくてそこまで出来る程の仲って羨ましいなーって。」 「見せてくれ」と言ったら見せてくれるのだろうか…。 「そろそろのぼせてしまうので先に上がりますね。出て待ってるので、一緒にお部屋に行きましょう。」 リシェ―ルはさっさと腰にタオルを巻いて上がり、脱衣所に行ってしまった。 のんびり浸かろうかと思ったが、着替えを見れると思うと、割とすぐに追うように上がった。 脱衣所に入るとまだリシェ―ルは腰にタオル一枚で頭を下に腰を突き出すようにして……見えるっ! すかさずリシェールに近付いて背後に回ると、俺の気配に気づいた様子で慌てたため、腰のタオルが取れて……。 「…―!み、見ましたっ!?」 慌てて座り込んで顔から身体まで真っ赤にするリシェール。 「いや……。」 心では「有難う!」を叫んでいた。 「ところで何をしていたんだ?」 咳払いすると、何を屈んでいたのか気になって尋ねる。 「これを落としてしまったんです。」 リシェールが手の平に乗せているのは金色の透き通った石。 「僕の力で出来た石なので……その、お守り代わりにアレクシウス様に貰っていただけたらって。仲良くなった記念にって。」 「…有難う。俺もいつか闇魔法を使う日が来たら、同じく渡そう。」 「はい。闇魔法って凄いんですよね!いつか見せて下さいね?」 「約束だ。」 石を受け取ると俺はリシェールの額にキスを落とした。 一瞬驚いた顔をしたが、すぐに頬を染めてはにかむ笑顔を浮かべるリシェール。 座り込んでいたのに手を差し出して立たせる。 この約束が果たせるのがかなり先になるなどとはこの時はまるで思っていなかった。

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