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EX8 俺の呪いが解ける時
side:ウェルナート(涼一)
(少年王子1部時点)
リシェへの恋心を確信した瞬間から、自分がおかしい事に気付いていく。
確かにゲームでは外見はタイプだった。
でも今目の前に居るリシェールはリシェールじゃない、この子は『リシェ』なんだと強く思う。
愛称呼びが何だと言うのか自分でもわからない。
ともかくゲームのリシェールとは表情も口調も違い過ぎる。
恐らくこの子も俺と同じだ。
見ていると何度も『僕』と言いかけては『私』と言い直す事がある。
親しく話すようになってからはそれが顕著だ。
そこまでして自分が別人である事を隠したがっているのを俺は敢えて暴こうとは思わなかった。
だがこれがゲームではないとはっきりわかった時点で、ゲームの通りにヒロインに盗られる事になる可能性を潰したい。
この子は俺の……俺の何だと言うのか自分でもわからない。
そう、自分の事なのにわからない感情が渦巻き、何かを思い出そうとしている感じだ…リシェに逢ってから。
もしかしてこの子に元の世界で逢っている?とも考えたが、俺自身が生まれて来てから誰かにこんな思いを抱いた事が無い事を、俺が一番良く知っている。
俺がおかしくなったのはこっちに来てから……いやリシェと逢ってからだ、それは間違いなく言い切れる。
色々おかしい事に気付いてもどうする事も出来ない。
今出来るのは、リシェを手に入れる事だけだ。
なかなか実行出来ないでいるともどかしい。
元の世界の俺は何でも自信を持って出来た人間だった。
なのにそれが今出来ないでいる。
それに俺は感情が無だった筈。
リシェに関する事だけ感情が普通の人間のそれになっている感じだ。
元々は感情があったのに何かに絶望していたような。
『……と逢えない人生には意味が無い。』
そんな声が心の奥底から聞こえていたような。
その相手がリシェなのだろうか。
そこにも確信が持てないせいもあって、自分自身にもリシェにも探り探りになってしまっている。
そもそも手に入れるってどうするんだ?
エロゲーではキスしてSEXだった。
だが昔から俺はキスやSEXを自分がする事は否定的だった。
現実にやるのとゲームとは違うしな。
だけど……リシェの唇を窺うと、いけそうな、むしろしたい気がしていた。
結局何の障害も無くあっさり俺はキスやらSEXを自ら望んでやった。
割と無理矢理強引に。
けれどその行為が凄く安心した。
『俺の物だ』と。
『ようやく逢えた』という謎の記憶と同時に全ての感情を取り戻していた……。
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