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EX26 吸血鬼 ※
side:アレク?
俺はヴァンパイア。
闇夜を駆けていると、仄かに一つ灯りが。
建物のバルコニーを見下ろすと、そこには美しい獲物が居た。
流れるような金の髪はショートなのにサイドが長く、その少年によく似合っていた。
『あの少年が欲しい…俺の物だ。』
心が逸る。
少年の吐息以外聴こえないのに耳を澄ませ、他に人気が無いのを確認すると、少年が居るバルコニーに降り立った。
俺の姿を認めた少年と視線が合う。
それなりにモテる俺の筈だが、一目で少年に惹かれてしまった。
一瞬驚く少年。
少年が騒いだら口を塞ごうなど考えていた事は全て飛んでしまった。
「王子様…?」
少年は俺を恐れるでもなく、小さく呟く。
「ん、王子?」
少年の言葉の意味がわからなかった俺は、少年の言葉を繰り返してしまう。
「あっ、御免なさい!貴方が物語に出て来る王子様のイメージそのままだったので。」
「つい…。」と恥ずかしそうに少年は照れ笑いする。
ヤバイ、可愛い…。
「人を呼ばないのか?」
「あ、えと……貴方はいい人そうなので。」
大丈夫かこの子…。
侵入しておいてなんだが、悪い奴に騙されないといいのだがと心配になってしまう。
「えーと…貴方……。」
「アレクだ。」
「アレク様はどちらに用があるんでしょうか?」
「君に用があって侵入させてもらった。」
「あ、リシェです。」
リシェ…名前まで可愛い…。
早速リシェのプロフの一番重要な欄が埋まった。
僅かに微笑を浮かべるリシェに俺はクラクラしている。
駄目だ…どうしてもリシェが欲しい!
音も無くリシェに近寄ると、すぐさまリシェの後頭部を抱き寄せてしまう。
驚いた顔が僅かに赤みを指す。
リシェも何も言わず俺と暫し見詰め合う。
「リシェ…俺の花嫁になってくれ!」
「えっ…え!?」
もう少し顔を寄せて至近距離で視線を交わす。
俺の言葉に混乱するリシェは、あわあわしている。
可愛らしいな。
「すみません、僕は男なのですが…。」
「別に構わない。」
「いいんですか……。」
吸血鬼は余り繁殖を目的としていないから性別などどうでもいい。
「僕はどうすればいいんですか?」
「!?それは、受け入れてくれるという事か?」
「は、はい。お願いします。」
自分で申し込んでおいてなんだが、こんなにあっさりで良かったのか…。
いや、俺にとっては棚ぼただ。
まあ拒否されても拉致ったが。
リシェの顔を見たら、頬を赤く染めて落ち着かなく身体が動いていた。
これからどうなるかわからないから緊張しているのだろう。
頬が赤いのは……リシェも俺に惚れてくれている?
都合良く受け取ると、俺はリシェを抱き締めてバルコニーから闇夜へと飛び立つ。
「わぁ、飛んでる!」
リシェを窺うと、楽しそうに周囲を見回して感嘆の声を上げていた。
人間生身で空を飛ぶとか機会が無いしな。
楽しそうなリシェを見れて眼福だ。
やがて俺の巣に辿り着くと、寝室のベッドにリシェの身を横たえる。
物言いたそうに視線を向けて来るリシェ。
美しいと言われているヴァンパイア一族を見慣れている俺が見ても、リシェは本当に美しい……何度見ても見惚れてしまう。
思わずうっとりとリシェに見惚れてしまっていると、リシェの頬が恥ずかしそうに赤くなる。
ふと、何か言いたそうに瞳を覗き込んで来るリシェ。
「アレク様はいつから……どうして僕の事を?」
当然であろう疑問に、上目遣いで答えを待つリシェに、分かりやすい答えを提示する。
「初めて見たリシェに一目惚れしてしまった。」
「……僕もです。」
何だって!?
リシェもまさかの俺に惚れてくれた…だと?
そんな夢の様な都合の良い話があるのか?
まあ、俺は外見は良い筈だ。
実際モテている。
なのに…そんな俺が自信を無くすくらい、リシェは魅力的だった。
いやいや、せっかく相思相愛なのだから、どうでもいい事は後で考えればいい。
俺は気持ちを切り替えてリシェに圧し掛かった。
サラサラと流れるリシェの美しい金髪を手に掬い、落とすように流す。
これも俺の物になるんだ。
リシェと視線を合わせると、落ち着き無く身体をもぞつかせ、視線も俺と合わせては逸らしたりしている。
緊張しているのか、何が起こるのかわからない不安を感じてるのかのどちらかだろう。
「リシェ…花嫁にだけでなく、俺の一族に入ってくれないか?」
「一族?」
俺が言葉を告げると、予想通り小首を傾げたリシェは問い掛ける眼差しを向けて来た。
「俺は、ヴァンパイアだ。」
打ち明けるとリシェは俺から視線を外して考えるような様子に。
拒否られたら…無理矢理…と決めている筈なのに躊躇してしまうのは……惚れた弱味だな。
「一族になるとどうなるんですか?」
「…リシェもヴァンパイアになる。」
「えっと、ヴァンパイアになるとメリットとかデメリットとかは?」
結構現実的だった。
頭の回転がいい子だな。
そこもいい。
「デメリットは、俺が今まで生きて来て特に感じた事は無いが…人間ではなくなる事ぐらいか。」
物語にある『日光に弱い』『血を吸わないと死ぬ』『ニンニク』『十字架』とか別に何とも無い。
「メリットは、『不老不死』『魔力の行使が出来る』とかだが…。」
「えっ、じゃあ僕もさっきみたいに空を飛べるように?」
「ああ、出来るな。」
目を輝かせるリシェ。
こういう所は少年らしいな。
その様子が愛おしくて、リシェの頬に唇を這わせる。
「あっ……。」
身体を少し強張らせるリシェ。
「人間では無くなる事はいいのか?家族と袂を分かつ事になるが。」
我ながら余計な事を口走っているのを実感しているが、リシェには出来る限り自分の意思で俺の許に来て欲しいと思ったから。
「…僕の家は家族仲が良くないので。」
苦笑で語るリシェ。
何か複雑な事情の家庭らしい。
ならば尚更俺の家族にするのがベスト。
「では、良いんだな?」
「宜しくお願いします。」
はにかみ笑みで答えてくれた。
その顔は極上に可愛かった。
「僕で良いんですか?」
笑顔に見惚れていたら不意な質問。
初対面でいきなり結婚を申し込まれたら問いたくもなるだろう。
「リシェに一目惚れした。この僅かな時間で、リシェの表情や仕草に、受け答えの可愛さとか、既に俺の花嫁は他に決して居ないと確信している。」
俺の告白に顔を真っ赤にするリシェ。
こうして今もリシェ惚れ続けている。
胸の鼓動の速さが治まらない。
「リシェ…好きだ。俺の物に、家族に、花嫁になってくれ。」
「…はい、アレク様の物に、お嫁さんにして下さい。」
微笑むリシェ。
俺は心の中で狂喜乱舞していた。
すぐにリシェの顔に顔を近付けると、瞳を閉じてくれるリシェ。
本当に受け入れてくれている!
迷わず唇を奪う。
「ん……っ…。」
重なった唇からリシェの吐息が漏れる。
触れたリシェの唇は柔らかい。
夢中で貪ってしまう。
「んぅ……ふ…アレク様ぁ…。」
キスの合間のリシェの唇から漏れる吐息混じりの声が艶を帯びる。
その声に、キスの感触に刺激されて下半身に熱が集まる。
硬くなってしまった男根をズボン越しにリシェの下半身に押し付ける。
リシェはまだ硬くなかった。
残念だったが、未使用だから反応が悪いのかも、と思うと萌えた。
「アレク様の…硬い…ですね…。」
押し付けた瞬間は驚いたような顔をしていたが、理解が追い付いたのか、恥ずかしそうに俺の状態を口にしてくれる。
そういうプレイみたいで益々興奮した。
「リシェっ!!」
興奮のままにリシェを剥いていく。
「あ、アレク様……恥ずかしい…。」
「大丈夫だ、恥ずかしさなどすぐに失せてしまう。」
リシェは衣服を脱がす間、終始恥ずかしそうに目を閉じていた。
顔は羞恥心で真っ赤だ。
「そんな顔もそそるな。」
赤く染まる頬にキスを落とすと、リシェは可愛く目を開いた。
蕩けそうに潤む瞳が俺を見つめる。
「リシェ……綺麗だ…。」
リシェの姿態を目に収めると、自然に口を付いて出た。
興奮している俺は息荒くリシェの裸体を眺めているのだろう。
「アレ…ク様……もう、赦して…。」
羞恥に耐えきれなくなったリシェの降参が聞こえるが、意地悪く笑んで見せた。
「~~っ…。アレク様は結構意地悪です…。」
「リシェが可愛過ぎるから、苛めたくなった。」
リシェの恨み言を軽くいなすが、実は俺には全く余裕など無かった。
興奮のままに、リシェの両足を割り開く。
「あ、アレク様……怖いです…。」
いきなり足をおっ広げた体勢にさせられたら誰だって怖いだろう。
リシェが不安そうな表情になる。
が、理解はしていても本能が暴走してしまっている。
今の俺には俺自身ですら止められない。
リシェの怯えに却って興奮してしまっている。
僅かに涙目で小さく震えるリシェを見たら、我慢なんて出来るわけが無い。
もう理性が制御不能になった。
懐から潤滑油を取り出すと、中身をすぐさまリシェの後孔に塗るようにしながら指を挿入する。
「あっ、アレクさまぁ!そんなとこっ駄目ぇですっ!」
自分でも触れた事が無いであろう箇所に、他人に指を挿れられたら誰だってパニックを起こすだろう。
俺が掴み開いてる足をばたつかせそうにリシェが暴れるが、非力なので俺が制圧したままだ。
そのまま指を更に進めてリシェの前立腺を指先で突く。
「っ…あぁっ!」
リシェがびくりと腰を跳ねさせ、足の抵抗が止む。
「気持ち良かったようだな。…勃ってる。」
リシェの自身が漸く硬くなってくれた。
それを示してやるように、もう片手でリシェのを緩く擦る。
「あっ…やぁっ!そんなの…変になっちゃ…ぅ!」
もう足を押さえて無くても、リシェの足は力が抜けてしまって、開脚のままの状態だ。
ゆるゆると後ろを突きながら前を扱く。
「あっあっ!…れくさまぁ!なんか…でちゃう……あああっ!!」
数擦りでリシェは絶頂を迎え、自分の腹に出して果てる。
イき顔も嬌声も好みで、俺の既にギンギンな息子がダラダラ涎を溢してしまう。
これ以上の我慢は無理だった。
ズボンの合わせ目から俺を取り出してすぐに、リシェの入口に先端を押し当てた。
「あ…れく……さま…っ!」
初の射精(あくまでも俺の予想)に放心状態だったリシェが押し当てられた事に気付き、再び不安そうな表情を浮かべる。
だが今の俺にはそんな表情は御褒美でしか無い。
腰を動かし、俺をリシェに収めていく。
「あ、あぁっ!あれくさまが…はいって…っ、くるっ!」
リシェの中に塗り付けた油の滑りで、リシェの中を蹂躙する。
「ここが良かったんだろう?」
先程のリシェの弱点を確認するように先端でノックする。
「あっ…ああっ!」
只でさえキツいリシェの中がやわやわと締まる。
気持ち良すぎて持っていかれそうだ。
俺自身に絡み付く肉襞が「ここに出して欲しい」と俺を誘う。
もう無意識に腰を打ち付け始めていた。
「あっあああっ!おっきぃ!おっきすぎてっ!!」
揺さぶられながら恍惚となるリシェの首筋に、俺の牙を立てる。
リシェの白い首筋から、ルビーのように美しい血液が俺の口へと吸い込まれていく。
「ふあああ―――っっ!!きもち…いっっ!らめぇっ!!よすぎ…てぇぇっ!おかしく……な…ちゃ…っ!」
吸血の際に媚薬のような効果がある唾液を相手に送り込む事で、噛まれた際の痛みを感じなくなる。
リシェは血を飲まれながらその効果を感じて、連続絶頂状態だ。
「ああっ、あああっっ!!くるっちゃう…りしぇ、こわれちゃ…うぅっ!!」
口から唾液を垂れ流しにして徐々に喘ぎ声が言葉を為さなくなってくるリシェに、俺は自分の手の甲の皮膚を食い千切って自分の血液をリシェの口に垂らす。
「んっ…ぅ…!」
どうにか味には気付いたリシェが、俺の体液を摂取した。
後は……。
「一緒に、イくぞ…リシェ!」
「いっぱ…いっちゃ……もぅ!!」
目の焦点が殆ど合って無いリシェを揺さぶり、リシェの中に放つ。
「く、るぅ……あっ、あああ―――っっ!!」
リシェは中に注がれると同時に潮を吹いて果てた。
やり過ぎたか心配だが、俺はやりきった感で満足だった。
俺の体液を摂取した効果が出たか、何もかもを出したからか、少しするとリシェは飛ばしていた意識を戻した様子で俺に視線を向けてきた。
「ようこそ、花嫁。」
それだけ言うと、リシェは少し首を傾げる。
意味がわからなかったようだ。
「吸血鬼である俺と血の交換を終えたリシェはもう吸血鬼になった。」
「ぼく……が?」
まだ呼吸が荒いリシェの唇を奪う。
「ほら、ここ。牙が生えてる。」
「ん…あ、ほんと…だ…。」
俺が舌でリシェの牙を指し示すと、リシェも自分の舌で確認した。
「…これで、ぼく…あれくさまの…およめさんです?」
まだ幾分呼吸が整っていないリシェが舌足らずな口調で…且つ嬉しそうに微笑みながら尋ねて来た。
「そうだ、俺のお嫁さんだ。リシェ…一生いや、永遠に幸せにすると誓う。」
「はい、宜しくお願いします…!」
照れ笑いをしながらプロポーズを受けてくれるリシェの身体をしっかり抱き締めると、リシェも俺の背を抱き締めてくれた……。
「りょ、涼一さん…っ!?」
「一体涼一はどうしたんだ?」
「何か『夢を録画出来る装置を造るっ!』って出て行ったよ。」
「私に『くれぐれも柚希の世話を頼む!』とか言ってわざわざ起こしに来たのはそんな事だったのか…。」
「夢を録画って可能なのかな?」
「いや、出来ないと思うが。……ところで柚希は…まだ裸なのだな。」
「あっ…えと…。」
「……風呂に入ろう。世話を任されたのだから、まずはそこからだ!」
「えっ、えっ!?リシェールと一緒に入るの?」
「ああ。まずは柚希の風呂の世話からだ。」
「…うん、わかった。」
今回ハッピーだったのは、リシェールだったという……。
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