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EX30 彷徨う涼一 ※ 軽い男女表現有り
side:涼一
ハッと我に返る。
俺は…何をしていた?
視線を流すと、湯気がある。
風呂…だな。
そう言えば入ったか。
「涼一さん?」
心配そうに柚希が抱き付きながら俺の顔を覗き込む。
「柚……ん?」
何かふにゃっと……。
「柚希?」
抱き締めた柚希の胸元辺りに違和感を感じた俺はすぐに柚希の胸を確認した。
「ゆっ、柚希っ!これどうした!?」
「えっ?」
柚希は女の子のように胸が膨らんでいた。
「腫れて……じゃない!」
柚希の股間に目をやると、そこには小さいけど一応男の子としてあった筈のおちんちんが無い……これはもう…。
ああ、でもやはり巨乳ロリ最高…!
しかもこれなら二人の子供も作れてしまうわけで!
とか喜んでいる場合ではない。
またも並列世界のあれだ。
恐らく神の魂を持つと、魂がうつろいやすくなるんだろう。
そう言えば寝る前に「あー、もう子供欲しい!」とか柚希の寝顔を見ながら考えていたから…か。
「涼一…さん?」
俺が一人思考モードになったから、不安そうな顔で見てくる女の子柚希。
何てラッキーな俺!とは思う。
だが実際は……。
「涼一さん……僕の事、飽きちゃった?」
僕っ娘ウマッ!
俺が手を出さないで考え込んでいたから、女の子柚希は泣きそうだった。
「飽きるなんて、天地が引っ繰り返ってもありえない。」
ギュッとしっかり女の子柚希を抱き締め直す。
ああ…柔らかい……。
男の本能が、このふにゅっからは逃げられない。
が…俺は性別で柚希を好きになったわけではない。
俺が実際愛してるのは、身体が男の子の柚希なんだ。
ここでこの女の子柚希に何かするのは浮気だ。
「柚希。落ち着いて聞いてくれるか?」
俺の態度がおかしい事には気付いている筈。
柚希は説明すれば理解してくれる。
俺の言う事は何でも信じてくれる。
だから俺が別の世界の涼一だという事を語り聞かせた。
「僕が男の世界…。」
普通ならば信じられないような事も、やはりあっさり信じてくれた。
「えっと…BL?」
そう言えば美月さんはBL作家で、仕事もBLゲーム作ってるんだから、妹の柚希が知らないわけが無い。
「まあ、そんな感じだ。」
「そっか。涼一さんは性別に関係無く、僕を愛してるくれるんだってわかって嬉しいな。」
はにかむ女の子柚希。
可愛い…性別が違ってもまんま柚希だ。
表面ではさりげなく対応しているが、内心は手を出さないように必死だ。
どうしても胸元の柔らかそうな房に目が行くし。
恋人だから見られても女の子柚希は気にしていないから、ガン見出来てしまっている。
俺のガン見に気付いた女の子柚希は、少し照れるように微笑んだ。
俺の柚希と反応が違う?
柚希だったら赤面して恥ずかしそうに顔を逸らしてしまう。
男女の違いか?
「そういや、いつもこうして一緒に風呂に入ってるのか?」
聞いてから当たり前の事だと気付く。
「うん。でもちゃんとゴムはしてるよ。」
ちゃんとゴム……。
つまり風呂でもヤって……ああ、俺らも毎日じゃないが風呂場でヤってるもんな。
「え、もしかして、男同士だとゴムって使わないの?」
「…出しまくってるな。」
最初から使ってなかったから、一度も使ってなかったな。
だが今更ゴムを使うのは無理だ。
柚希の中に出す事が俺の愛になっている。
あと感触も違うだろうし。
「そうだったな、女の子だと妊娠してしまうからな。生でした事は無いのか?」
何だかエロ親父の質問みたいになっている気がする。
「安全日は生だよ。涼一さんが危険日から安全日まで覚えてくれてるから。毎朝体温も測ってくれてるし。」
…………危険日!
その魅惑ワードを柚希が言う破壊力よ!
危うく勃ちそうになった。
だがそれはいいな、今度から柚希の体温は毎朝測ろう。
さて、帰る方法か…。
あっちに行ってるだろう俺がしそうな事をあっちの俺と同時にやる、とか辺りで行けないか?
side:柚希
何となく恥ずかしくて、腰にタオルを巻いてしまった。
「僕が女なら、何の障害も無くていいなぁ。」
「いや、これはこれでありだ。」
「それなら良かった。」
「だが、男の子という事は、毎日中出しし放題という事だな。」
「そ、そうだけど…。」
いつもしてる事とは言え、言葉に出して言われると恥ずかしくて顔が赤くなってしまう。
「柚希は性別が違っても、可愛い…。」
「ありが…とう。」
頬を撫でられながら言われる言葉に、余計に顔が熱い。
本物の涼一さんに言われたならここまで恥ずかしくないと気付き、僕もいつの間にかだいぶそう言われる事に慣れたんだなと、しみじみ感じてしまう。
「美少女の柚希が男の子になるなんて考えられなかったが、こうして見てしっくり来てる。」
身体があちこち眺められてる。
恥ずかしい。
「何となく……エロい身体だな。」
「っ!?」
涼一さんには違いないけど、感想とかがやっぱり別人のそれだと感じて、視線も言葉にも羞恥ばかり感じさせられてしまう。
「も、もう出よう!」
恥ずかしい見学会になっちゃってるし、僕はもう耐えきれなかった。
「あっ!?」
風呂場から出ようとしたら、腕を引っ張られて元の位置に戻されてしまった…。
「何となく、俺の柚希より羞恥心が高い気がする。」
「そ、そうなの?」
女の僕は涼一さんに対して余り恥ずかしがらない?
何で違うんだろう?
「男同士と言う事は…尻でヤってるんだよな?」
「~っっ!?」
悲鳴が声にならない。
シャワーも出してないのにのぼせてる感じ。
「あんまり俺の柚希とは尻でヤらないからな。」
女の子は…そっか、違う所で…。
「だから、見せてくれ。」
「はい?」
「尻使うと変化があるか。」
「…えっ?」
僕は多分恥ずかしいやらで混乱してると思う。
涼一さんが言ってる事が理解出来ない。
首を傾げてたら両足を掴まれて引っ繰り返された。
「りょ、涼一さんっ!?」
腰のタオルを剥ぎ取られ、足を開かされてしまう。
他人にこれをやられたらさすがに暴れるけど、相手は涼一さんだからあまり抵抗出来ない。
「成程…俺のを咥え込んでるから、やっぱりこうなるな。」
僕の後孔に息が掛かるから、すっごい顔を近付けて見られてる!
掛かる息と言葉に煽られて、自然に孔を閉じようと動かしてしまう。
「エロいな…。」
「あっ、あっ!」
僕が蠢かせるそこに、涼一さんが指を這わせるから、敏感になってしまって、腰がぞくぞくと震える。
「俺の柚希よりも身体がやらしい気がする。これが男女の違いか。」
何か納得したようで、すぐに身体を引き起こしてくれた。
「妙に色気を感じる。男の子の方が艶っぽくなっているのは、何故だ?」
涼一さんは考え込んでいる。
女の子の僕の方が羞恥低めで、色気が低くなる…。
「ひょっとして柚希は自分が、俺と同性であると言う事に何処か引け目とか遠慮とかを感じているんじゃないか?」
「…うん、確かにある。」
言われて気付いた。
例えば女装しないと外でイチャイチャは出来ない。
僕が女なら女装もする必要無いし。
結婚もとっくに普通に出来てるし。
そういう障害を涼一さんに味わわせてるんだって思いがある。
「この世界の俺も、柚希の性別なんて関係無く好きになったんだから、いつだってどこでだって、周りの目なんか気にしないで、柚希には全力で甘えて欲しいと思っている筈だ。」
外で引っ付かないのは、確かに人目が気になるから。
涼一さんを奇異の目で見られたくないから。
エッチの時だって、おっぱい揉ませてあげたいなとか、涼一さんが多分望んでるだろう子供だって産んであげられたらって思ったり……。
「柚希!」
「あっ……。」
僕はいつの間にか泣いていたらしい。
涼一さんが抱き締めながら頭を撫でてくれる。
「悪かった。気にしてるよな。」
「ううん、気付かせてくれて有難う。これからは遠慮無く涼一さんに、いつでも何処でも甘えるね。」
何かスッキリした。
涙を拭ってから、もう平気だと涼一さんに笑みを向ける。
「……こっちこそ有難う。俺は本来俺の柚希以外、人を愛する事は無いんだが……お陰で二人目に好きな人が出来た。」
「えっ!?」
「一番大切なのは俺の柚希だが、男の子の柚希の事も…愛してしまった。」
「有難う。」
僕の頬を大切そうな手付きで撫でながら、優しい笑顔でそう言ってくれた。
「キスだけはしていいか?」
確認されると顔が赤くなる。
「う、うん…。」
僕は目を閉じて、涼一さんの背中に両腕を回す。
「キス待ち顔も可愛いな。」
一度目を開ける。
「揶揄っちゃ…や…。」
恥ずかしさでまたも真っ赤にさせられた。
「恥ずかしがる顔が最高に可愛いからな。」
「意地悪…。」
揶揄の笑みを浮かべる涼一さんに仕返しするように、自分から唇を押し付けた。
「んっ…。」
涼一さんが唇を強く吸ってきたから、今度は生理的な涙を流しながら唇を吸いあった。
暫くそうして、やがてゆっくり離す。
「お帰りなさい。」
僕は笑顔でそう告げる。
「ただいま。」
嬉しそうな涼一さんがゆっくりと僕を押し倒した。
「ちゃんと本物の俺だってわかってくれたんだな。」
「うん、愛してるからね。」
僕が女の世界の涼一さんに何にもされなかったか。
女の僕に何もしなかったかとは互いに聞かない。
僕は涼一さんを信じてるし、涼一さんも僕をきっと信じてくれてるから……。
「涼一さん、甘えていい?」
「…っ!?……ああ、甘えまくってくれ。」
一瞬驚いたような顔をした涼一さんは、一度起き上がり両手を広げてくれたので、僕はその胸に飛び込んだ。
後で知ったけど、僕が甘えてる間涼一さんは、僕にそうとは見せないように、性的なやつを我慢してたらしい。
女の僕の身体を見せつけられて我慢して、帰って来たら僕が刺激するような事をしていたわけで…。
当然我慢した分、その後の行為は激しかった……。
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