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第10話
やがて現れた氷室の欲望は、ゆるやかに勃起していた。見事な大きさを前に、優真は思わずたじろいだ。自分のささやかなそれとは、比べ物にならないほどだ。こんなものが自分の中に入っていたのかと思うと、信じられない。瞳を閉じ、思い切って先端を口に含んでみる。
(どうやったらいいんだろう……)
いつも氷室がしてくれるやり方を真似ようとするが、ちっとも思い出せなかった。咥えられた時点で、我を忘れて乱れ狂ってしまうせいだ。それを思うと、さらに羞恥が増す。
「んっ……、ふぅっ……」
取りあえずは、チロチロと舌を這わせてみる。すると頭上からは、呆れたようなため息が降ってきた。
「そんなお上品なやり方じゃ、永遠に勃たねえぞ」
次の瞬間、ぐい、と頭をつかまれる。深々と押し込まれて、優真は瞠目した。苦しさに、思わず涙がにじむ。
「唇をすぼめるんだ。舌も、もっとしっかり使え」
「んっ……、は、ふぁい……」
無我夢中で指示に従い、舐めしゃぶる。次第に、硬くなっていくのがわかった。
(感じてくれてる……?)
「そう、その調子だ」
優しく頭を撫でられる。欲望はどんどん膨れ上がり、優真の口内を犯していく。熱い鋒で頬の内側の粘膜を擦られるうち、優真はいつしか恍惚とし始めた。
「――! んんっ……!」
突如、脚の間に違和感を覚え、優真は目をむいた。口淫に気を取られている間に、氷室の足先が、優真の性器を捕らえていたのだ。からかうように荒っぽく揉まれ、堰き止められた射精感が再燃する。
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