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第14話
チロ先輩が双子の女の子を産んだのはそれからすぐの事だった。
「可愛いね、赤ちゃんたち」
「……はい……」
赤い髪の子と茶色の髪の子。
ふたりとも髪の毛は多くてふわふわのパーマがかった感じだ。
その耳はチロ先輩と同じキツネの耳で、顔立ちはふたりともルシフェルさんに似ている気がした。
「Of course、私たちの子供デスカラ」
オレと先輩とでベッドに寝ている赤ちゃんたちを見ていると、横からルシフェルさんが得意げな様子で話す。
「ふたりとも、抱っこしてもいいですヨ?」
「えっ、いいんですか?」
「うん、もちろん!!」
ルシフェルさんの隣にいるチロ先輩も嬉しそうに笑って応えた。
「じゃ…じゃあお言葉に甘えて。いいよね?雅美くん」
繋先輩に促されて、オレは断れなかった。
「は、はい……」
本当は怖いからやりたくない。
「雅美くん、そんな怖い顔したらダメだよ」
「す、すんません……」
チロ先輩に抱き方を教わって恐る恐る赤ちゃんを抱く。
「…………」
赤ちゃんはオレの顔を見ると、最初は不思議そうな顔をしたけどすぐに笑ってくれた。
可愛いな、って思ったけど、ずっと抱っこしていて赤ちゃんが泣かないか不安になってすぐにチロ先輩に抱っこしてもらおうとすると、赤ちゃんはその小さな手でオレの腕を掴んでくる。
「あはは、雅美くんの事すっかり気に入ったみたいだね」
「…………」
チロ先輩の言葉にどうしていいか分からなくて戸惑っていると、もうひとりの赤ちゃんを抱いている繋先輩と目が合った。
「…………」
抱っこしているその姿も、オレに向けてくれるその笑顔も眩しくて、ドキドキしてしまう。
あぁ。
いつかこんな日が来たらいいな。
先輩が赤ちゃん……オレとの子供を抱く日が。
その時はオレ……ちゃんと親になれるかな。
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