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「無理無理!」

    オレが本気でムカムカしてる事を悟ったらしいリアが、あはは、と苦笑ながら。 「だからね、ルカの少し下かな~と思って。そういう経験は無さそうかなあって、ソラがあんまり可愛いから、思っちゃっただけよ?」  そんな事を言ってくる。フォロー、なのだろうか??  ……どうりで、可愛い可愛いって、言ってたなあ……。  子供だと思ってたんだ。なるほど。   っていやいや、なるほどじゃないし!! 「ソラ、経験あんの? 女と?」  ゴウが面白そうな顔して聞いてくる。 「どれくらい?」 「どれくらい?って」 「1回とか?」 「…………っっっっ」  1回って何だよ!!  もう、ルカとゴウのコンビとは、話したくない。いつ話してもロクなことになってない気がする。  オレ、高校ん時も彼女居たし。そん時は、結構、エッチなコトにはまって、相手もそういうの好きな子だったから、結構してたし! 去年は彼女も居たし、別れてからも、彼女になりそうかなーて子と、そんな関係になった事もあるし!   ていうかオレ、別に男としてモテない訳じゃないし!! 「……っ覚えてない位は、あるよ!!」  ゴウに向かって叫ぶと。 「おー? それはすごいな?」  くっくっとゴウが笑う。  くー、なんか絶対馬鹿にされてるー!! 「オレ達と同じ年なら、まあ普通にあるよね」  キースは、うんうん、と普通に頷いて、流してくれようとしている。  ……あれ? そういえば、ルカから何も言葉、無いな?  黙っていたルカに気付いて、ふと、見上げると。  ゴウとおんなじ感じで笑ってんのかと思いきや。  目が据わってて、オレは、固まった。 「――――……?」 「……ふーん。――――……そんなに経験あったんだな……」 「……え……」  あれれ? 何??  良く、分かんないけど。  ……ここから走って逃げ出したい位、怖いんですけど。 「……じゃあ遠慮すること、無かったな」 「…………っ」  耳を疑うしかないし。  昨日からの、ルカのどこに、遠慮があったの??? 「――――……初めてとか言うから、優しくしてやったのに」  やややややや、優しくされましたっけ???  ど、どこが????  やだっていっても、怖いっていっても、やめてっていっても、  大丈夫とか、すぐ慣れるとか、もう全然遠慮の欠片もなく、やりたいようにやってましたよね???  呆然としながら、目の前のむすっとした顔の勇者を見上げてしまう。 「もう、遠慮しねえでやるわ。……まさか騙されるとはなー」 「……っっつか、オレ、されるのは、初めてだって、言ったんだよっ」 「――――……ふーん」 「……男にされるのなんか、ほんとに、考えたことも無かったしっ……」  無理無理。 はっきり言って、昨日も、ルカが遠慮してたと思わないけど、  遠慮しないでやる宣言とか、本当に、無理無理無理無理。 「意地悪するなよ、ルカ。 騙したんじゃないって分かるでしょ。ソラは、やられるのは初めてって言ってたんだろ」  キースが、そう言ってくれて、どうやら少し、庇ってくれてるらしい。  オレが必死の顔で、怯えてたのが分かったのかな。 「――――……まあいいや。この件についてはあとで、よーく、話し合おうな、ソラ」 「――――……」  ……嫌です。  そんな怖い顔してる勇者とは、話したく、ありません。  ていうか、絶対、言葉での話し合いじゃない気がするし。  ほんと、嫌……。

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