27 / 289
「楽しい買い物」
「とりあえず、町に行って、その強い魔物とやらがどこに居んのか、聞いてこようぜ」
ルカの言葉に皆が頷く。
「各自情報集めて、適当に集合なー」
「了解」
3人は返事と共に、中に消えて行った。
「ソラ、ついてこい」
「あ、うん」
ルカに呼ばれて、その後ろについて歩いていたら。
「……何で後ろ?」
振り返られる。
いや。何となく??
「横、来いよ」
ぐい、と腕を引かれて、隣に立たされる。
「――――……うん」
……隣がいいんだ。
なんか色々聞いて回ったりするのに、邪魔かな?と思っただけだったんだけど。
ルカの隣で一緒に歩いていくにつれ、さっきまで居た町とは、また違う感じの町の様子が目に入ってくる。
昨日の町より、看板がかかってる店みたいな建物が多い。
うわー。
……楽しそう。
色んな店、全部入ってみたい。何が売ってるんだろう。
使ってたアイテムとかも、あるのかな??
ワクワクしながら、色んな看板を見上げていると。
ルカに見下ろされて、ふ、と笑われた。
「ソラ、オレが店主に話を聞いてる内に、欲しいもの選んでていいぞ。色んな店があるから、お前の物も一通り揃うだろ」
ワクワクしながら、うん、と頷く。
日本に帰るの、もうちょっとだけ先でもいいや。
とりあえず買い物したい! 見てみたい!
「どれくらいが高いの? いくら位までなら、買っても良い??」
「この町の品揃え位なら、別になんでもいーぞ」
「ほんと? やった」
勇者、ばんざーい。
そうだ、そのお金も、魔物倒したり、カジノでゲームしたり。
頑張って、集めたっけ。
まあ。ほんとにオレが動かしてたなら……の話だけど。
とにかく、大事に使おう。うん。
「ここ、服屋な。とりあえず3着ずつくらい揃えろよ」
「うん」
ルカが店の主人ぽい人と話してる間、商品を見て回る。
わー。……なんだか、分かんない。何だろう、これと思うものばかり。
服も、今着てるみたいなのは、長い布にしか見えないし。
これ、サイズとかあるの???
良く分からなくて、ちゃんと選ぶ事もできないけれど、でも楽しすぎて、あちらこちら触れてみる。
ルカ達は、職業とか能力に合わせて服を着てるから、それぞれちょっと独特で。
オレはむしろ、村人Aみたいな服を選んだ方がいいのかなあ??
んーどう選べばいいんだろ。
悩んでいた時。
「お兄さん、洋服を探してますか?」
明るい笑顔の女の子に話しかけられる。
「うん。あ。普通の服で、似合いそうなのを選んでもらっても良い?」
「予算はどれくらいですか?」
「そんなに高くない普通の服でいいんだけど」
「了解です。今着てるみたいな服でいいなら、ここにあって。その服は、サイズとかないので、生地の色と、腰紐の色や編み込みの形で、好きなものを選んでもらえれば」
「なるほどー」
色は、何種類かずつあるんだ。
これって、何で染めてるんだろう。綺麗。
「あと、上下が別れてて、腰ひもが無いタイプは、こちらにありますよ?」
「へえー」
Tシャツと膝丈くらいの半ズボン、みたいな感じ。
こっちのが、スースーしなくていいかも。
今のと同じのを1着と、上下別れてるセットを2着、選んだ。
基本的には、形はオレが着るのは今着てるみたいな、かぽっとかぶって、ウエストで締めるみたいな服を着てる人が多いらしい。てことは、この、足スースーには慣れないといけないんだなあ。
「下着ってある?」
「服の下に着るものですか?」
「うん、そう」
「こちらですか?」
「あ、うん」
やっぱり今履いてるこれって、パンツなんだな、うん。
色々選び終えたものを、手に抱えてると。
「お兄さん、選んでる間、このカゴに入れておいてください」
「わー、ありがとう」
木の買い物カゴだー!!
なんか、すごいー!
ちょっと嬉しくなりながら、それに服を入れていると。
女の子が、くす、と笑った。
「お兄さん、今日はこの村に泊まる?」
「え? あーどうだろ、わかんないな。どうして?」
「私、夜は酒場に居るから、来てくれないかなーと思って」
「あ、そうなの?」
「一緒に飲みませんか?」
「んー」
でもルカ次第だよなあ。ここに泊まるかも分かんないし。
「じゃあ、一緒の人達に聞いてから。泊まるんだったら、皆に聞いて、行くね?」
そう答えて、その時、目に入ってきた、アクセサリーぽいものの所に近付くと。
「あ、そうじゃなくて」
女の子に後ろから言われて、え?と振り返ろうとした瞬間。
ルカが目の前に立った。
「ソラ。決まったか?」
「あ、ルカ。うん。服は今、3着取った」
カゴの中のを見せると。
「白とか水色似合うから、いいんじゃねえか?」
「……ん」
さっきもだけど。
さら、と褒めてくれるのは、ルカのいいとこな気がする。
ちょっと嬉しい。
ともだちにシェアしよう!