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「楽しい買い物」

     「とりあえず、町に行って、その強い魔物とやらがどこに居んのか、聞いてこようぜ」  ルカの言葉に皆が頷く。 「各自情報集めて、適当に集合なー」 「了解」  3人は返事と共に、中に消えて行った。 「ソラ、ついてこい」 「あ、うん」  ルカに呼ばれて、その後ろについて歩いていたら。 「……何で後ろ?」  振り返られる。  いや。何となく?? 「横、来いよ」  ぐい、と腕を引かれて、隣に立たされる。 「――――……うん」  ……隣がいいんだ。  なんか色々聞いて回ったりするのに、邪魔かな?と思っただけだったんだけど。  ルカの隣で一緒に歩いていくにつれ、さっきまで居た町とは、また違う感じの町の様子が目に入ってくる。  昨日の町より、看板がかかってる店みたいな建物が多い。  うわー。  ……楽しそう。  色んな店、全部入ってみたい。何が売ってるんだろう。  使ってたアイテムとかも、あるのかな??  ワクワクしながら、色んな看板を見上げていると。  ルカに見下ろされて、ふ、と笑われた。 「ソラ、オレが店主に話を聞いてる内に、欲しいもの選んでていいぞ。色んな店があるから、お前の物も一通り揃うだろ」  ワクワクしながら、うん、と頷く。  日本に帰るの、もうちょっとだけ先でもいいや。  とりあえず買い物したい! 見てみたい! 「どれくらいが高いの? いくら位までなら、買っても良い??」 「この町の品揃え位なら、別になんでもいーぞ」 「ほんと? やった」  勇者、ばんざーい。    そうだ、そのお金も、魔物倒したり、カジノでゲームしたり。  頑張って、集めたっけ。  まあ。ほんとにオレが動かしてたなら……の話だけど。  とにかく、大事に使おう。うん。   「ここ、服屋な。とりあえず3着ずつくらい揃えろよ」 「うん」  ルカが店の主人ぽい人と話してる間、商品を見て回る。  わー。……なんだか、分かんない。何だろう、これと思うものばかり。  服も、今着てるみたいなのは、長い布にしか見えないし。  これ、サイズとかあるの???  良く分からなくて、ちゃんと選ぶ事もできないけれど、でも楽しすぎて、あちらこちら触れてみる。  ルカ達は、職業とか能力に合わせて服を着てるから、それぞれちょっと独特で。  オレはむしろ、村人Aみたいな服を選んだ方がいいのかなあ??  んーどう選べばいいんだろ。  悩んでいた時。 「お兄さん、洋服を探してますか?」  明るい笑顔の女の子に話しかけられる。 「うん。あ。普通の服で、似合いそうなのを選んでもらっても良い?」 「予算はどれくらいですか?」 「そんなに高くない普通の服でいいんだけど」 「了解です。今着てるみたいな服でいいなら、ここにあって。その服は、サイズとかないので、生地の色と、腰紐の色や編み込みの形で、好きなものを選んでもらえれば」 「なるほどー」  色は、何種類かずつあるんだ。  これって、何で染めてるんだろう。綺麗。 「あと、上下が別れてて、腰ひもが無いタイプは、こちらにありますよ?」 「へえー」  Tシャツと膝丈くらいの半ズボン、みたいな感じ。  こっちのが、スースーしなくていいかも。  今のと同じのを1着と、上下別れてるセットを2着、選んだ。  基本的には、形はオレが着るのは今着てるみたいな、かぽっとかぶって、ウエストで締めるみたいな服を着てる人が多いらしい。てことは、この、足スースーには慣れないといけないんだなあ。 「下着ってある?」 「服の下に着るものですか?」 「うん、そう」 「こちらですか?」 「あ、うん」  やっぱり今履いてるこれって、パンツなんだな、うん。  色々選び終えたものを、手に抱えてると。 「お兄さん、選んでる間、このカゴに入れておいてください」 「わー、ありがとう」  木の買い物カゴだー!!  なんか、すごいー!     ちょっと嬉しくなりながら、それに服を入れていると。  女の子が、くす、と笑った。 「お兄さん、今日はこの村に泊まる?」 「え? あーどうだろ、わかんないな。どうして?」 「私、夜は酒場に居るから、来てくれないかなーと思って」 「あ、そうなの?」 「一緒に飲みませんか?」 「んー」  でもルカ次第だよなあ。ここに泊まるかも分かんないし。 「じゃあ、一緒の人達に聞いてから。泊まるんだったら、皆に聞いて、行くね?」  そう答えて、その時、目に入ってきた、アクセサリーぽいものの所に近付くと。 「あ、そうじゃなくて」  女の子に後ろから言われて、え?と振り返ろうとした瞬間。  ルカが目の前に立った。 「ソラ。決まったか?」 「あ、ルカ。うん。服は今、3着取った」  カゴの中のを見せると。 「白とか水色似合うから、いいんじゃねえか?」 「……ん」  さっきもだけど。  さら、と褒めてくれるのは、ルカのいいとこな気がする。  ちょっと嬉しい。  

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