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「何なんだ」

  「この袋は何??」 「こっち側に、何か持っておきたい物を入れて、こっち側は、金を入れとくとこ」  袋を開けて、ルカが指さしながら教えてくれる。  店主が、やっと計算が終わったみたいで、こちらに顔を上げた。 「156リロになります」 「あ、はい」  リロ。ゲームの中で使ってた単位だな……。  さっきルカが持たせてくれた銀貨を出す。  そしたら、また違う、小銭たちが返ってきた。 「ルカ、おつり……」 「そん中、入れとけよ」 「え。この中?」 「ああ。あと、これも」  言いながら、さっきの銀貨を3枚、渡される。 「いつかオレが居なくて必要があれば使っていいけど、オレが居る時はオレが払うから、そっちは持ってていい」 「持ってていいの?」 「模様が、気に入ったんだろ? 後で磨いたら? かなり綺麗になるから」 「――――うん。そうする。ありがとう」  ……やっぱり、良い奴なのかな……。  そんな事を思っている間に、ルカが買ったものを持ってくれた。 「違う店行くぞ」 「うん」  出ようとした時、ふ、と振り返ると、服選びを手伝ってくれた女の子がこっちを見ていた。 「色々、ありがとうね」  オレがそう言うと、彼女は、にっこり微笑んだ。 「はい! また来てくださいね」  んー、また来るかな?   思いながら、曖昧に頷きつつ、先に出て行ったルカについて店を出た。  あ、そういえば、夜、酒場に居るとか、言ってたなあ。  店を出て、ふ、とルカを見上げると。 「ルカ、今日、この町に泊まったりする?」 「……何で? まだ決めてねえけど」 「酒場がある?」 「あるけど、何で?」 「さっきの子が、酒場に居るから、泊まるんだったら、来てくださいって言ってたからさ。一緒の人達に聞いてみるねって、さっき話してたんだ」 「――――……それって」 「ん?」 「――――……皆で来いって言ってたか?」 「さあ。その話する前に、ルカが来たから」 「――――……」 「約束した訳じゃないから良いんだけどさ。 あ、荷物、持つよ自分で。貸して?」 「別に良い。持ってる」 「でもルカ、話聞いたりするし、良いよ、オレ持つ――――……」  言ってる途中に急に。  肩に腕がかかって。ぐい、と引き寄せられた。 「……る、――――……」  急に、深くキスされた。 「……っ……?」  今は人、道に居なかったけど。普通に、町の、道路、なんですけど……。 「……っん……?」  ゆっくり、唇が外れる。 「……な、に??」  少し離れた顔を、ただ、見上げてそう聞くと。 「――――……別に」  ふい、と顔を逸らされた。 「別にって……」  何でこんなとこで、急にキスされンの……????  眉を顰めて、ルカの横顔を見てると。  ふ、と見つめ返してきたルカが、何だか少しムッとしてて。 「魔物倒したら、ベッド行くから」 「…………っ」  いきなりのセリフに、一瞬意味が分からなくて。  分かった瞬間、顔が熱くなって。  疲れるから寝に行く。  ――――……の意味であってくれたらいいのだけど。  違うよね……。  思いながら、ルカを見つめ返してると。  なんか、ふ、と笑ったルカに、腕を引かれた。 「てことで早く倒しに行くぞ」  ……行くけどさ。  …………何なのかな。もう。 「……荷物、持つよ」 「いい。お前非力そうだし」 「非力でも、服くらい持てるよっ」 「良いって」  クスクス笑うルカに、軽くあしらわれる。    くー。  何なんだ、もう!

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