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「何だかな」1 *ルカside

   魔王の居場所を突き止めるのに苦労した。  たどり着くのにも苦労した。  そして、魔王をいざ倒そうという時。  急に真っ白になった世界。  一瞬、魔王が何か攻撃を仕掛けたのかと思って、身構えて。  けれど何の衝撃も無く。  かろうじて、目を開けた瞬間。  目の前に、どしゃ、と何かが落ちてきた。  そう。  。  結構長い時間、戦っていた。  その空間には、何も無かった。  洞窟なので、上を見上げても、岩しかない。  隠れられるような場所じゃない、光は、時間にしたら、ほんの一瞬だった。  白い光とともに、空中に現れて、落ちた。  ――――……そうとしか、思えなかった。  そんなのに気を取られて。  ――――……しかも、涙に、更に気を取られるという大失態。  意味の分からない、そいつにもムカついたし、そんな事に気を取られて、魔王を逃がすという大失態を犯した自分には、もっとムカついた。  ……絶対に、ありえない。あってはならない事だった。  せっかく、世の中、魔物が消えて、少しは皆が暮らしやすくなると、思っていたのに。  キース達は、逃げる余力が残ってたって事は、まだ、倒せる時じゃなかった、とか言うが。やっぱり、あの時、気を取られず、攻め続けていたら倒せたんじゃないかとも思う。  いくら、あの瞬間、静止の魔法をかけていたとしても、油断すべきじゃなかった。  生きてきて一番という位、内心落ち込んだし、自分にも、ソラと名乗った男にも、腹が立って。  憂さ晴らしに付き合わせようと思って。  ついでに、決戦に備えてて、最近たまってたしとか、そんな安易な理由で、ソラをベッドに連れ込んだ。  涙だけは良かったし。めちゃくちゃに泣かせてやろうと思った。  ――――……のだけれど。  何だろう。  泣かせるのは、まあ、良いのだけれど。  涙も、そそられるし。  ……見た目は、全然普通の感じの奴だと思ったのに。  抱くと、やたらエロい。  嫌がるくせに、ものすごい感じて。  薬だと伝えたら、全部薬のせいにしたらしく、素直に甘えてきて。  それが、めちゃくちゃ、かわい――――……かった。  あんまり、感じた事が無い。  抱いてる間に、可愛いとか。  もうとっくに薬が切れる頃になってても、変わらず、感じまくるから、ものすごい長い事、しつこく抱いていた気がする。あんなに夢中になるとか、そんなに無い。  気を失ったソラをようやく離して、清めて。  隣に横になって顔を見つめる。  もう、ピクリとも動かず、スヤスヤ寝ていた。  城に帰ったら、住めるようにしてやればいいかとか思って、そのかわりオレのものになれ、と言ったら。 帰れるまでは、絶対守って、と言った。  守る、か。  ――――……分かった。 守ってやる。  そのかわり、ずっと側においとこう。  と、何でだか、会ったその晩に、そう思った。  朝、ようやく目を覚ましたソラに。  ふと、思いついて、餌付け、とか言いながら食べさせた。  チョコの実を食べさせた時に、ふわふわ、と笑った。  話が本当だとするなら。……まあ、今の所、信じてはいるけれど。  いきなり知らない世界に来て、いきなり、初めて男に抱かれるとか経験をさせられた翌朝にだ。その相手の男の手から、普通に食べ物を食べさせられて、笑うとか。  ……警戒心、ねえなー、と思って。  よっぽど幸せな世界で、警戒することなく、のんびり生きてきたんだろうなあ、こいつ。  そんな風に思って。  そしたら、ますます守らないとと、なんだか、すごく思ってしまった。

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