42 / 290
「夜中に、ふと」2
ちょっと。なんか。
……これ以上、人の中、かきまわすの、やめてくんないかな……。
抱くなら黙って抱けばいいのに。
可愛いとか、そういうような事、言ったり。 ……好きとかさ。
オレも、気持ちいいとかめちゃくちゃ言わされるし。
……絆されてしまう気がする。
「――――……」
なんだよ。ルカが料理、喜んでくれそう、て。
むむむ……。
……逆、向いて寝よう。
向かい合わせをやめようと思って、少しだけルカの腕の中で動いて、反対側を向いた瞬間。
「――――……ソラ……?」
ルカが、めちゃくちゃ寝ぼけた声で、オレの名を呼んで。
何でだか、ドキッとしたオレを、その腕で、ぐいっと引き寄せた。
「――――……っ」
思い切り、密着した形で、後ろから抱き締められて。
そのまま、ルカはまた眠ってしまった。
「…………っ」
な、何なんだ。もう。
……っつかもう、そもそもオレの貞操観念、ここの人達程、ゆるくないんだよね。
最初結構たやすく受け入れてしまったとは言え。
あんな激しく抱き合うの、誰とでもとか出来ないし。してしまったら、どうしたって、親近感というか、好意というか、どうしたって、浮かんできちゃうというか!
――――……もっとさ、行為目的、みたいにひどくされれば、浮かばないだろうけど。
ルカの抱き方って……。
……ああもう考えない。
オレは、ルカの色んなものを利用させてもらいつつ。守ってもらう。
ルカは、オレを、好きにして。
……飽きるか、他の人に興味持つまでは。
もう、それだけなんだから。
つか、ルカは、他にもいっぱい相手居るって言ってたし。
こんなのに、意味なんか、考えたって、
そもそもオレの諸々の既成概念とは、まるで違う相手なんだから。
考えちゃダメだ。
うん、これ以上、意味を考えるのは、やめよう。
そうだ、どうしたって、好きに抱かれるんだからさ。
ルカが上手で、
とりあえず、死にそうな位、気持ちいいんだからラッキー。
…………てことで、そう思おう。
……それでいいよな、うん。
なんか。
後ろから、包み込まれるみたいに抱かれてて。
何故か今、めちゃくちゃドキドキしてるけど。
――――…… その意味も、考えなくていい……はず。
と、思いながら。
静かに、ため息をついてしまう。
「――――……」
なんかさ――――……。
オレほんとにさ。
……抱き合うとか。
あんなにキスしたりとか、しちゃうとさ。
でもって、何で寝る時、こんなに抱き締められて寝てるんだろうか。
……なんだかなあ、て感じ、だよなー……。
体に流されるみたいで嫌だけど。
――――……でもなんか、体だけって感じじゃないから、余計、まずい。
ルカは、何でオレに、あんな感じなんだろ。
……いまも、何で、こんな感じなんだろ。
抱き締められたまま、視線に入ってきたのは。
何故か、おそろいでつけた、アクセサリー。
こんな風にルカの手首とオレの手首、一緒に視界に入ってくると、何だか余計に気になってしまう。
少し動いて、きつく縛られた結び目に触れる。ルカの結び方、きつくて、到底解けそうにない。
ミサンガなら……願い事を込めるんだよな。切れたら、叶うってことだったはず。
願うなら、
早く、戻れますように、かなあ……?
「……ソラ……? 起きてるのか?」
「――――……ん」
「……まだ寝とけよ」
今迄だってめちゃくちゃひっついてたのに、更に、ぎゅ、と抱き締められてしまう。
……どんだけ密着するんだよー。
裸でくっついてる感触が。なんか。ほんとに。
…………気持ち的に、マズイ、気がする。
ともだちにシェアしよう!