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「夜中に、ふと」2

 ちょっと。なんか。  ……これ以上、人の中、かきまわすの、やめてくんないかな……。  抱くなら黙って抱けばいいのに。  可愛いとか、そういうような事、言ったり。 ……好きとかさ。  オレも、気持ちいいとかめちゃくちゃ言わされるし。  ……絆されてしまう気がする。 「――――……」  なんだよ。ルカが料理、喜んでくれそう、て。  むむむ……。  ……逆、向いて寝よう。    向かい合わせをやめようと思って、少しだけルカの腕の中で動いて、反対側を向いた瞬間。 「――――……ソラ……?」  ルカが、めちゃくちゃ寝ぼけた声で、オレの名を呼んで。  何でだか、ドキッとしたオレを、その腕で、ぐいっと引き寄せた。    「――――……っ」  思い切り、密着した形で、後ろから抱き締められて。  そのまま、ルカはまた眠ってしまった。 「…………っ」  な、何なんだ。もう。  ……っつかもう、そもそもオレの貞操観念、ここの人達程、ゆるくないんだよね。  最初結構たやすく受け入れてしまったとは言え。  あんな激しく抱き合うの、誰とでもとか出来ないし。してしまったら、どうしたって、親近感というか、好意というか、どうしたって、浮かんできちゃうというか!  ――――……もっとさ、行為目的、みたいにひどくされれば、浮かばないだろうけど。  ルカの抱き方って……。  ……ああもう考えない。  オレは、ルカの色んなものを利用させてもらいつつ。守ってもらう。  ルカは、オレを、好きにして。  ……飽きるか、他の人に興味持つまでは。  もう、それだけなんだから。  つか、ルカは、他にもいっぱい相手居るって言ってたし。  こんなのに、意味なんか、考えたって、  そもそもオレの諸々の既成概念とは、まるで違う相手なんだから。    考えちゃダメだ。  うん、これ以上、意味を考えるのは、やめよう。  そうだ、どうしたって、好きに抱かれるんだからさ。  ルカが上手で、  とりあえず、死にそうな位、気持ちいいんだからラッキー。  …………てことで、そう思おう。  ……それでいいよな、うん。  なんか。  後ろから、包み込まれるみたいに抱かれてて。  何故か今、めちゃくちゃドキドキしてるけど。  ――――…… その意味も、考えなくていい……はず。    と、思いながら。  静かに、ため息をついてしまう。 「――――……」  なんかさ――――……。  オレほんとにさ。  ……抱き合うとか。  あんなにキスしたりとか、しちゃうとさ。  でもって、何で寝る時、こんなに抱き締められて寝てるんだろうか。    ……なんだかなあ、て感じ、だよなー……。  体に流されるみたいで嫌だけど。  ――――……でもなんか、体だけって感じじゃないから、余計、まずい。  ルカは、何でオレに、あんな感じなんだろ。  ……いまも、何で、こんな感じなんだろ。       抱き締められたまま、視線に入ってきたのは。  何故か、おそろいでつけた、アクセサリー。  こんな風にルカの手首とオレの手首、一緒に視界に入ってくると、何だか余計に気になってしまう。  少し動いて、きつく縛られた結び目に触れる。ルカの結び方、きつくて、到底解けそうにない。  ミサンガなら……願い事を込めるんだよな。切れたら、叶うってことだったはず。  願うなら、  早く、戻れますように、かなあ……? 「……ソラ……? 起きてるのか?」 「――――……ん」 「……まだ寝とけよ」  今迄だってめちゃくちゃひっついてたのに、更に、ぎゅ、と抱き締められてしまう。       ……どんだけ密着するんだよー。  裸でくっついてる感触が。なんか。ほんとに。  …………気持ち的に、マズイ、気がする。  

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