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「いつも近くに」

     町長達に挨拶をした後、オレ達は、リアの魔法でシャオの町に飛んだ。  もちろん、ミウは、超ぎゅっと抱っこして。  オレが抱くと、ミウもひしっと抱き付いてくるので、めちゃくちゃ可愛いと思いながら。オレの肩には、いつもみたいにルカの手が乗っかってた。  なんか。  気づくとルカはいっつも、オレに触れてる。  こういう時は囲うみたいにしてるし。  山というか崖みたいなの登ってた時も、いつ落ちても大丈夫な感じですぐ近くに居たし。実際落ちてもすぐ助けてくれて。  食事とかで座ってる時も、超近くに居るし。  ……でもって、なんか。  それが当たり前になってる事に気付いたのは。  ――――……昨日の、宴の席。  ルカが、偉い人の席に居て、すごく離れてた。  ミウも居たし、何となくオレは端っこに座ろうと思って、離れて座った時、オレの方を見て何か言おうとしてたルカは、すぐに町長や、女の子達に囲まれた。  あれは、隣に座れって事だった、のかなあ。  ……敢えて、聞いてはいないけど。  なんか。  ルカがすぐ近くに居ないという事実のせいで。  いつも触れる位に近くに居るって事に気付いた。  離れているのを少し寂しいと思う位には、近くに居る事が当たり前になってる事にも、気づいてしまった。 「何だよ?」  リアの魔法が解かれて、町の前に立って、手を離したルカを見上げると。  ルカがオレを見て、ふ、と笑んだ。  偉そう、なんだけど。  もうなんか慣れてしまって。  最初は偉そうに笑われると、怖かったのに。  もう全然……嫌な感じは、しない。 「ううん」  言って、オレはミウを抱き締めていた手を解いた。  ふわふわ、と浮かんだかと思ったら。  ぽよ、と肩の上に乗っかった。  全然重くはないので、肩のすぐ上で、浮いてて、ちょこっと触れてる、位。 「あはは。並んでると、なんかすごく可愛いー」  リアがオレとミウを見て、笑う。  すぐ横にあるミウと見つめあって、ふふと笑ってしまう。  うん。ミウ、可愛い。  ルカはゴウ達と、海の方に目を向けている。  そんな3人を何となく、後ろから眺める。  3人並んでると、すごく頼もしくて、カッコいい。  皆、背が高い。  一番高いのは、ゴウ。で、ルカとキースは同じ位かな。  大きくてがっちりしてるのはとにかくゴウ。シルエットにしたら、熊、て感じ。腕もぶっといし。ほんと、強い剣士っていうのが、ぴったり。  ルカも鍛えてるのがすぐ分かる筋肉してるけど、ゴウほどめちゃくちゃぶっといとかじゃなくて――――……なんていうんだろう。  綺麗な筋肉、かな。  ごついってよりは、しなやか。  二の腕は太いけど――――……なんか引き締まってて。カッコいい。  めちゃくちゃ、足長いしな。 現代日本に行ったら、即モデルとかできそうだと思った位だし。  褐色の肌が、強そうで。  ……頼りがいがありまくりな、見た目。  これで、身分が王子なんだから――――……そりゃ、人が下に、集まるよなあ。  キースは、王子様みたい。  2人ほどはごつくない。剣士という言葉より、騎士という言葉が似合う気がする。もちろん剣を使うんだから、強いんだろうけど。  優しそうで。落ち着いてて。癒す方の白魔法を使うところも、キースのイメージにぴったり。 「ぼーとして、どしたの、ソラ?」  隣で、クスクス笑うリアは。  黒髪、色白、瞳の大きな、美人さん。色気がある人だと思うけど、オレに構う時は、なんだかすごく楽しそうでコロコロ笑ってて逆に可愛く見えて、色気とかそっちは封印してる気がする。封印というか、オレに色気使う意味がないんだろうなと思う。あ、あと、あの3人にも。  「……なんか、皆、カッコいいなあと思って」 「ん?」 「皆、色々鍛えて、強くて。 人のために、戦って」  そう言ったら。  リアは、ふ、と笑んだ。 「ルカの周りにはねー、色んな人達がいっぱい集まってるんだよ」  ふふ、とリアが笑う。  ――――……うん。  多分。  オレは、知ってる。  城や町には、ルカを慕って集まってる人達がいっぱい居る。  なんか。  ……あまりに近すぎて意識しないでいるけど。  ルカって、この世界で、一番、偉い人、なんだよね。  

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