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「プロポーズ?」
「まあいいんじゃねえ、自由な方が。楽しいし。な、ソラ?」
ルカがそんな風に言って、笑う。
ほんと、ルカは、自由だよな。
いいなあ、こんな風に生きれたら。
確かに楽しそう。
そう思って、頷くと。
「ソラ」
「ん?」
「――――……オレらも結婚する?」
「……は?」
固まりに固まって、ルカを見上げていると。
「嘘、ルカ、今突然プロポーズしたの?」
リアが信じらんない、と笑ってる。
「お前結婚しないって言ってたじゃねーか」
「ソラが石像みたいになってるけど……」
ゴウとキースの笑い声も、聞こえてくるけど、反応できず。
「……ソラ?」
目の前で、ルカが大きな手を振ってくる。
「……何だこれ、目開けたまま気絶か?」
ルカが呆れたように言って。周りの3人が笑ってるのも分かるけど。
何て言っていいのか分からなくてただ、ルカを見上げてると。
頬に触れられて、さっきよりも、長く、キスされた。
「…………っっ」
固まってるとこ、口が塞がれて、息が出来なくて、変な風に、ひゅ、と息を吸い込んで、けほっ、とむせる。
「大丈夫か? ソラ?」
クスクス笑うルカが、オレの頬に触れる。
「――――……そこまで驚かなくて良くねえ?」
答えられないオレのかわりに。
「驚くでしょ」
「驚くわ」
「驚くよね……」
リアとゴウとキースが、ほぼ同時にハモって言った。
「そうか? 結婚て、相手が自分のものだっていう、単なる宣言だぞ?」
「え」
……あ、そうなの?
宣言するだけだというなら、
いっつもルカって、オレのだオレのだ言ってるな。
やっと、考えられて、そうなんだ、と思っていると。
「周りの奴にそう宣言するってだけだけど? さっきみたいな式をして、宣言する奴も多いけど、しない奴らも多いし……」
「……戸籍は?……」
「何だ?」
はい。戸籍ない。
なんだかちょっと可笑しくなってきた。
じゃあ結婚て、何?
「……家同士で挨拶とか……」
「……そりゃ周りの奴に宣言するから、挨拶くらいするけど。結婚は本人次第」
「……何の為にするの? 結婚て」
「だから、相手が自分のもんだっていう、宣言」
「ルカ、言い方」
リアが呆れたように言う。
「ルカの言い方はあれだけど、『生きてる限りずっと一緒に居たいって思ってます』っていうお知らせをする感じだよ?」
「だから。ソラはオレのだって、オレ言ってるじゃんか。結婚しても変わんなくねえ?」
その部分は変わんないけど。
……うーん?
「オレはルカのって、いつもルカは言ってるけど――――……」
別に、ルカは、オレのじゃないじゃんか。
お城に帰れば、相手、いっぱいいるみたいだし。
……でも何かそれ言うと、オレが気にしてるみたいで嫌だ。
言わないでいると。
「結婚て、片方だけの宣言じゃないんだよ、ソラ。ルカが宣言しても良いって言うなら、ルカもソラのって事になるんだよね」
リアがクスクス笑う。
「ね、ルカ?」
そんなリアの言葉に。
「ああ」
ルカは平然とした顔で、頷いてる。
「――――……」
――――……ルカも、オレのってこと……?
「オレはいつでもいいけど」
くす、と笑って。ルカはオレの頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
「つか……オレがルカのなのは」
「ん?」
「――――……魔王倒すまでか、オレが帰るまで、だろ」
オレがそう言ったら。
ルカは、数秒黙ってから。
意志の強そうなまっすぐな瞳で、オレを見つめて。
ふ、と微笑んだ。
「お前は帰らず、魔王倒しても――――……オレので居れば?」
「――――……」
「って、オレ、これ言うのは、初か」
はは、とルカは笑い出した。
「――――……ま、考えとけよ、ソラ」
笑いながらそう言い終えた所で、ルカは町の人に呼ばれて、ふと振り返る。
「食事どうぞだってよ、行こうぜ」
ルカに言われて、皆、歩き出す。
なんかものすごく軽く、
ものすごい事、言われた気がするんだけど。
「ほら、ソラも、行くぞ」
くしゃ、と髪を撫でられて。
見上げると。
ここ数日で、これでもかという位に、ずっと側にある。
ルカの笑顔。
なんだか。
心臓が――――……ドクドク……までは、行かないか。
うーん。 トクトク??
なんか、とにかく、少し、脈が速いというのか。
――――……よく分かんないけど。
ほんと変なの。
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