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「本気か冗談か」

    ――――……なんか、大分日本の結婚とは違いそうだけど。  籍とか無いみたいだし。   籍入れるって、日本の結婚ではかなり大きい部分な気がするけど。  緩すぎて、いまいち、よく分かんないけど。  ……結婚しようって、言われた。  魔王倒しても。  ……オレは帰らないで。  ずっとルカのでって。  初めて言ったかって、ルカ、笑ってたけど。  ――――……考えてたってこと? って、会ったばっかりなのに。  ――――……なんだかな、ルカ。  何言ってるんだろう。  自由過ぎるにもほどがあるっつーの。  嬉しいと喜ぶには、なんだか色々あんまりにも複雑で。  でもなんか。  ――――……何となく、ちょっと、笑んでしまうような気分なような。  ほんと。変なの。 「ソラ、これ食べる?」 「うん、食べる」  リアに聞かれて頷く。 「ソラが食べたいの持って、テーブルに行ってて、私ここらへんのデザートぽいの持ってくから」 「はーい」  どうやら、バイキングみたいなパーティらしい。  中心部は皆、楽しそうに騒いでるので、食べ物飲み物を皿に取ったら、食べたい人は、中心を大きく囲うように置かれてるテーブルや椅子の所で食べれば良いみたい。  町の人達は、飲み物を片手に、中心でしゃべってる人達が多い。  ルカは引っ張って行かれて、そこで、皆と何か喋ってる。  ――――……堂々としてるから、カッコいいのかなあ。  何か、ルカだけがやたら目立って見える。  ……背、高いからだな、うん。それだけだ、うん 「ソラ、酒飲むか?」  ゴウに聞かれて、ぷるぷる首を振る。 「ここのお酒強いから良いや……」 「これ、強くねえぞ。祝いの席だし、飲んだら?」  ……そっか。お祝いの席か。 「ほんとに強くない?」 「ああ、飲んでみな」  手渡されたコップで、一口。  うん。……そこまでアルコールの味は強くないけど。 「今日はもうどこも行かない?」 「どこもって?」 「何か倒しに行くとか、そういうのしない?」  そう聞くと、ああ、とゴウが頷いて、ルカの方に視線を向けた。 「今ルカがあそこで話聞いてるから、それから決めるんじゃねえかな。でも、あいつも今飲んでるし。至急の案件はねえと思うけど」 「じゃ飲もうーと」  このお酒も甘くて美味しいし。  なんか、この世界のお酒はすっごく、オレ好みかもしれないー。  果実酒も美味しかったしなあ。  ゴウから受け取った酒を持って、テーブルにお皿を置いて椅子に座る。  すぐ、リアも大きな皿に色々持ってきて、隣に座る。 「ソラ、乾杯ー!」 「うん、かんぱーい!」 「美味しいねえ、お酒」 「うん」  2人で並んで、美味しいお酒を飲んでると、リアが、クスクス笑い出した。 「結婚しようと来たね、ルカ」 「……意味わかんないね」 「あはは。ほんとよねー。さすがにびっくりした」 「うん」 「ソラ、石化の魔法掛かってるみたいだったもんね」  可笑しくてたまんないって顔でリアが笑ってると、キースが隣に座りながら、ふ、と笑んだ。 「さっきのルカの事?」 「うん。てか、ソラが石化の魔法にかかったみたいだったなーって」  リアが笑いながら言うと、キースも、ああ、と頷いて笑う。 「まあ本気なんだろうけどね」 「……本気で言ったと思うの? キース」 「あの言い方で冗談だと思うの、ソラ?」 「……うーん……」 「まあ大体にしてルカて、本気か冗談か分かんない時多いよね」 「うん……」  リアのセリフに、ますます唸ってる所に、ゴウも座ってきた。 「ゴウはルカのプロポーズ、本気だと思う?」  キースの言葉に、ゴウはぷ、と笑いながら。 「前は結婚しねえって言ってたけどなー、あいつ」  ……そうなんだ、と思ってると。  ゴウは、オレを見て、ぷ、と笑った。 「女とすげえ会ってる時に、結婚しねえとか言って、ソラと居る時に結婚しようとか、マジで面白ぇよな」  面白いとかじゃないけどね。  ふ、と息を付きながら、中心に居る、やたら目立つ人を目に映しながら。  美味しいお酒を、ごく、と飲み干した。

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