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「邪魔じゃない?」

「今日どうする?」    キースがルカに聞くと、ルカはんー、と少し考えてから。 「シャオの街に戻って、アランの様子見にいくか。行ってから考えようぜ」  その言葉に皆頷いてる。 「まあ、海に居る何かが、どっか行っちゃってくれて、波とか収まってたらいいけどねえ」  リアの言葉に、ルカが「それじゃまた違う所に被害が出るからダメだな」と言った。 「分かってるけどほら、海のど真ん中とかで勝手に生きててくれるならさあ」 「戻ってくるかもしれないだろ。原因は断つのが一番早い」  ……うん。たしかに。  確かにそうだね。うん。魔物なら倒してしまうのが、確実。  で、そこで、ものすごく、気になるのが。   「あのさ、ルカ」 「ん」 「――――……それ行く時、オレ、つれてく?」 「――――……」  皆がオレを見る。ルカもオレを見ながら、珍しくすぐに返事をしてこない。 「……オレ、なんか居るだけ邪魔じゃない?  捕まったり、吸い込まれたり、なんか邪魔してる気がして……」  怖いってのもあるけど、なんか居ると、ルカの邪魔になっちゃうんじゃないかと思ってしまうんだけど。 「……邪魔とは言わないけど、確かに戦えないソラが立ってると、狙われちゃうみただよね」  リアも肘をついて、うーん、と考えてる。 「今まで、ソラみたいな子を一緒に連れて戦う事って無かったから、分からなかったけど。標的になってる感じはするよね」  キースもそう言う。 「まあでもソラが捕まると、大体ルカがキレて1人で倒してて、楽だけどな」  はっはっはっと、ゴウが笑ってる。  ゴウって……まあ確かにそうなってはいるみたいだけど……。  キースとリアも、確かに、楽ちん、とか言って笑ってる。  この人達は、ほんと自由で。  ……なんかいいなあ。ゆるーくて。 「どうすっかな…… ああ、ソラもう飯はいいのか?」 「うん、もう大丈夫」 「チョコの実、食べる?」 「それは食べる」  頷くと、ふ、と笑って、ルカが剥き始める。  数秒後、皆がぷっと一斉に笑い出した。 「……ンだよ」  ルカが、ジロ、と3人を睨むと。 「なんか、ソラの為に実を剥いてるルカが、恒例になってきてて」  あははは、とリアが笑う。 「そもそもお前、剥くの面倒だから実なんか食べねえっつってたのになー」  ゴウがそんな事を言ってきて。ルカは、ち、と舌打ち。  え。そうなの??と、びっくりして ルカを見上げていると。  ルカが、何だかものすごく嫌そうな顔をして、オレを見下ろす。 「ンだよ、その顔」  皆がクスクス笑ってるのを聞きながらも。 「……毎日剥いてくれるから、こういうの剥くの元々好きなのかと、思ってた……」  言った瞬間、ぷーーっとリアたちが噴き出してる。 「あっは――――……そんな訳ないよ、結構ルカ、面倒くさがりなんだからねー」  あー面白い。そう言っておかしそうに笑って、「面倒くさがりだよねえ?」と、ルカに同意を求めてる。  ルカが結構ムッとしてるから、キースとゴウは笑ってるだけなんだけど。リアはそこらへん、ほんとメンタル強いのか、全然気付いてないのか、ものすごーく楽しそうに笑いながら、ルカをからかってる。   「……ほら」  リアには特に何も言わずに、ルカが、オレの口にチョコの実をぽい、と食べさせる。 「美味し……」  どんな複雑な気分の時でも美味しい。   「オレが好きなのは剥くのじゃねーから。ソラが美味そうに笑うから剥いてんだけど。――――……まさかこんな面倒くせー作業が好きだと思われてるとか。 意味わかんね」  ルカの言葉。  ……やっぱり複雑。 「いいよ、そんな剥くの嫌なら、オレ自分で剥けるから、貸して?」  手を出すと、ルカが、はあ?とオレをちょっと睨む。 「話聞いてた? オレがお前に食べさせて美味そうな顔するから、やってんだって。 わかんねーな、ソラ。 ほんと馬鹿」  馬鹿とかまた言われてムカつくんだけど。  ――――……でもなんか。  よく分かんないけど。  ……ルカがせっせと剥いてくれてる姿がちょっと可愛いのと。  オレが美味しいって言った時の、ルカの、ふ、と緩む瞳が好きなのと。  ――――……ついでに、今。  剥くの面倒なのに、オレに食べさす為には、そんなに楽しそうに剥いてくれてるんだ、という、なんだかよく分かんない、ちょっと嬉しい気持ちも合わさって。  ルカから、チョコの実を奪うのは、やめた。

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