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「頭と体」

 キースと笑いあっていたら、「のぼせたー」とか言いながら、リアが合流してきた。  肌に張り付くような布ではなくて、濡れてもある程度形を保ってくれるみたいな布だから、ばっちりラインが出る訳ではないんだけれど。  なんか、やっぱりいつもよりも、肌が出てて、色っぽいなーと思ってしまう。  リアって、超キレイだよなあ。  年上の、キレイなお姉さん、て感じ。  うん。オレは、やっぱり、女の子の方が、好きなんだよ。うん。  絶対そう。  ただ、何か。  ――――……もしオレ今。  あ、そんな事ないのは分かってるんだけど。  もしも、今、リアとそういう雰囲気とかになって誘われるとかあったとして。  ……誘いに乗るかって言われたら。  ……多分、乗らない。  ――――……それは何でかって。  ……ルカが怒るかなーっていうのもあるんだけど。  なんだろ。乗り気がしない。  キレイなリアを見て、可愛いなあキレイだなあ、女の子はいいなあって、思うのに。  ……そういう対象にならないみたいで。  これはやばい傾向なんじゃないだろうか。  ……かといって、横に、王子様みたいなキースが居るけど。  この人としたい、とも思わない。  ……いや、キースとリアだったら、断然リア。  ……男は嫌。  …………だけど、リアも……違う。  ――――……ああ、もう。これ、ここからは、言葉にしたくない。  したくないけど。  ……多分今、オレのそういうのは。…………あのエロ勇者と直結してる。  体が、なのかな。  ……すっかり、組み敷かれる事に慣れて。  キスを、「される」事に慣れて。  快感を、「与えられる」事に……慣れちゃってて。 「はあああーーーーーー……」  大きなため息とともに、温泉の縁の方を向いて、腕を伸ばして倒れ込んだ。 「やだ、どうしたの、ソラ」  クスクス笑って、リアが言う。 「……あんまり考えた事なかったんだけど」 「うん」 「今までは、大体、体と気持ちって、勝手に連動してたんだよね……」 「……?? うん、それで??」 「……今してないの。多分生きてきて、こんなに、連動してないの、初めて」  リアとキースが、きょとんとして、顔を見合わせてる。 「気持ちと体が通じてないの?」 「通じてない……」 「どっちが正しいの?」 「正しい……? 気持ち、かなあ……」  オレは男だしって思う気持ちの方が、正しい気がする。  ……男同士なんてさ。 ほんとは、今だって、無いと、思うし。  ルカと寝るのはやめて。  ルカは他の人とすればいいし。  ……ルカは、他にもいっぱいモテて、きっと、他の人ともそういう事、するんだろうし。  ……お城に帰ったら、相手はいっぱいいるから、休めるよって。  リア、言ってたし。  …………頭ではそう思うのに。  何でだか――――……ずきずき。する。体のどっか奥の方。  ほらね。  ……こうやって、なんか。  ――――……頭で考えてる事とさ。  ………なんか、体の反応が全然、違うんだよね。  頭では、ルカと寝たくないって思うのに。    今だって。ルカは、女の子達に囲まれてるし。  ――――……この世界の貞操観念ユルユルな女の子達だからきっと、今からだって、そんな事になりそうな感じもするしさ。  ……今見たら、ルカ、もう、誰かと消えてる、かも……だし。 「――――……」  ちら。とそっちの方を見ると。  あれ。ほんとに居ない。あれ。ゴウも居ない。  …………まさかほんとに。  ズキズキズキ。  その瞬間。 「湯に入ってんの、飽きた」  不意に、すごく近い所で。  ルカの、声。  ――――……あ。ルカ。と、ゴウ。  見上げると。ちら、とオレを見つめる、ルカ。  どき。  胸が震える、気がする。

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